全肯定されたい欲望と現実との境目

わたしは、正しいことを書いていない。
今、自分が思っていること、感じたこと、たどり着いたことについてしか書いていない。

だから、わたしの言うことに賛同できない人は多いと思うし、共感できない人も多いだろう。
でも、その一方で、わたしの書いていることは、正直だから、境遇が似ていたり価値観が似ている人にとっては、考えが整理できるものなんだと思う。

わたしが想像するよりもずっと遠いところまで、記事が広まってしまったので、つまり、わたしが読むだろうと思っていた人たちを越えて、広まったので、わたしの記事を肯定できない人、本来はきっと読みたくなかった人たちにまで記事が届いた。

商売だったら、これは喜ばしいことだ。

ひっかること、気に入らないこと、評判が良くないことは、それが好きなファン以外にも訴求力があった、ということの指標になるからだ。

でも、わたしの場合は商売じゃない。迷いながら、自分の気持ちをまとめている。

だから、迷っているところに、波乱が来ると揺らいでしまう。

平静でいることは難しい。わたしは未熟な、世の中を知らない、単純な年ばかり取った大人だから、きっと間違ったこともたくさん言っているだろう。

ただ、わたしは正しいことを書きたくない。
正しいことはたくさんあふれている。みんな知っている。
わたしは、わたしだけが知っている秘密をそっと書いていきたい。間違ったこと、嘘、夢、ぼんやりしたこと、刹那的なこと、無計画さを書いていきたい。

本当は、わたしは将来や老後に向かって、目標だったり、計画だったり、たてている。どうやって生計を立てているかも説明できる。だけど、そんなことをしても無意味だからしない。

わたしがここに書いていることは、わたしのすべてじゃない。一部だ。

わたしは、文章を全肯定されたいと思っていた自分に気がついた。
そんな無謀なことは思っていないはずだったのに、いつしか、甘えていた。
甘えることはけっして悪いことではないけれど、会ったこともない不特定多数に、甘えることは危険だ。いくら甘えたくても、それは叶わないことだから。

頭でわかっていることが、心に届くまでにはタイムラグがある。
きっと、あと一日したら、この祭典も終わるだろう。
そうなったとき、わたしはさみしいに違いない。
たくさんの人に読んでもらうことは喜びだったから。
だけど、それもいつしか終わる。

どんなに素晴らしい作家でも、好きじゃないと思う人は一定数いる。売れれば売れるほどアンチも増える。

そんな一端を、現実に体験できて良かった。
たった二日の出来事だったけれど、たくさんの人が評価してくれた。
わたしの間違った生き方を、わたしの迷った過ごし方を、時間を割いて付き合ってくれた。
わたしは感謝したい。そうしたい。ありがとう。

c71の著書

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全肯定されたい欲望と現実との境目」への4件のフィードバック

  1. c71様、初めまして。私は福祉系の仕事をしております。情報収集の一環でこちらを拝見したのですが…
    c71さんと軽トラさんの素敵な、本当に素敵なお話にドキドキしてしまいました(ちなみに51歳既婚のおっさんです。笑)
    楽しかったり苦しかったり辛かったりうれしかったり…そういう気持ちを真摯に、率直に大切にしながら日々を送っているお二人が、いっしょでもそうでなくても、お二人そのままでありますように。
    とても優しい気持ちにしていただき、うれしいです。ありがとうございます。

  2. 通りすがりで座り込みましたさん
    コメントありがとうございます。素敵なハンドルですね。
    福祉系のお仕事をされているんですね。わたしもお世話になっています。
    この前ヘルパーさんが、わたしのエッセイのミニコミを買っていきました。
    軽トラさんとはのんびり関係を育てていくのが幸せです。
    すぐ付き合って、勢い良く好きだみたいにならないで、友だちみたいな家族になる可能性があるような、一緒にいることが当たり前みたいな存在になりたいです。

  3. c71様
    Reコメント、ありがとうございます。
    ハンドルへのお誉めの言葉、ありがとうございます。最初は表紙だけながめさせていただくつもりだったのですが、どっかり座り込んで読ませていただきました(笑)
    “関係を育てていく”のは素敵なことですね。スピードや勢い、量、効率を求められることが多い今ですので、なおさらそう感じるのかもしれません。
    例えば真っ直ぐなキュウリがお店に大量に並びますが、家庭菜園で手間暇かけて育てたキュウリは、形も様々で、美味しさもお店のものとは違います。
    量や効率に追われ、焦って自分を見失うことも多かった我が身を振り返ると、少しうらやましいです(笑)
    激しく燃え上がらない関係が、長く長くあたたかいものでありますように。

  4. 通りすがりに座り込みましたさん
    そうですね。わたしは焦ることが多いので、焦らないようにと忠告されました。
    なので、あまりしたことがないですけど、これを機会にゆっくり関わっていくことを覚えようと思います。

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