マスカラがだまになっているって、生徒さんが教えてくれた。
じーっと、わたしの顔を見て、くすくす笑いながら、「何かへん」と言いながら、「マスカラがだまになってる」と教えてくれたので直した。
「マスカラはだまになるもんじゃないの?」って言ったら、「ここだけ濃くてへん」って言われた。
それで、教えてもらえてありがたいなと思って直した。
この生徒さんに言われるから受け入れられるっていうのはある。他の人だといやだ。
顔を自分では見られないし、特にわたしは社会性がないので、教えてもらえないとわからないままだ。
でも、本当は、そんな社会の方が間違っているとも思っている。
わたしは障害者枠ではなく働いているので、ときどき、すごいミスをする。この前は、授業中に寝てしまった。疲れているからといって、普通寝ないと思う。わたしもそう思う。でも、眠ってしまった。
謝ってその授業のお金はとらなかった。
体力がない。全然ない。だから、あり得ないミスをする。
筋力がない、というよりも、もう、よくわからないけど、生活するための体力がない。持久力もない。すぐ寝込んでしまう。
そういうの、自分でなんとかできると思って、頑張って来たけど、なんとかできないなー、と思った。認めようと思った。
ゆっくりやろうと思った。
これで、わたしは、仕事中に寝てしまったら、しばらくお金を採らないでいようと思う。生活は厳しくなるし、意味があるわけじゃないしそれで許されるわけでもないんだけど、正直でいようと決めたから、そうしようと思う。
人は一人なのだ。だから、自分のために生きるべきなのだ。
どう評価されようと、他人だから、関係がないのだ。自分を助けるのは自分。友だちだって、数年のこと。それで人生を決めてはもったいない。おたおたして、振り回されて、労力を使ったらもったいない。
一人で生きるのにはお金がたくさん必要だ。
だから、働きたい。
本当は子どもが好きだけど、体力的に無理そうだ。
他人は、エラーみたいなもの、という言葉を見て、そうだな、と思った。
他人にぶつからなかったら、自分のことがわからない。このままじゃだめ、ってなる契機は他人だな、と思った。
楽しかったり、つらかったりする。
でも楽しいだけで関係を作っていると、心がだんだん苦しくなる。つらいことを分かち合わないとうわべだけで付き合っているようで苦しくなる。
乗り越えなきゃ、強い人間にならなきゃ、って思っていると、自分の居場所がなくなってくる。
効率を求めていきていれば、もっともっとがんばらないと、いけないから、自分をここで良いと許せる気持ちにならないから、自分で自分を苦しい居心地にしてしまう。優れたものだけがいられる場所を作ると、自分はいられなくなってしまう。どうしたって、100点を取り続けることはできないのだから。
乗り越えなくても、弱いままでも、頑張らなくても、苦しいままでも、気が楽になることはある。
人と分かち合って、話をすることで、気が楽になる。
障害を持っているひとがいると迷惑だと言う人もいる。
そういう人は、わたしみたいに、隠れて働いている人の姿は見えない。
みんなが健常だと思っている。
そういう世界は多分、本人にとっても居心地が悪い。
強くなきゃ、ポジティブに、頑張らないと、と常に自分をコントロールしている世界はきっと苦しい。
わたしは健常じゃない。そうは見えないと言われるけれど、健常じゃない。仕事中に寝ちゃうし、とにかく完璧じゃない。ダメだ。
ダメだけど、人と関わる機会を持ちたいから、働いていたい。
働くことで社会の一員だと感じていたい。人の役に立ちたい。楽しい時間を過ごしたい。だから、働いている。
障害者に働かせると社会の損失になる、という人は、わたしのお客さんにも面と向かっていえるのだろうか。
わたしに教えてほしいというお客さんもいるのだ。
障害者だから、ミスがある、というよりも、本当は誰にでもミスはある。
だけど、みんな透明な存在になろうとしているようにみえる。同調圧力の前に自分が消えていったり、他の人と違う行動をとって避けられたりしてしまう。そういう風にしているように見える。
透明な存在だと生きる意味がわからなくなってしまう。
本当はみんな、でこぼこして、それぞれに違いがあって、体力も違うのじゃないか?
良い大学に行って良い人生を送れるスーパーマンなんて、そんなにいるのだろうか?
いても、もろいんじゃないだろうか?
死ぬまでは意外と長いから、その間に挫折することもあるんじゃないか?
でも、まったく挫折しないひともいないとは言い切れないからこの可能性についてはさらに模索したい。
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