アムネスティのセックスワーカーの人権を守るための決議についての話題

アムネスティ(国際人権NGO)が、セックスワーカーの人権を守るための決議を採択した。
このニュースには胸が震える。

www.amnesty.or.jp

とうとう、という気持ちや、一歩踏み出した、という気持ちや、ここに至るまでの過程のことを考えると胸がいっぱいになる。
わたしも語りたい。

わたしは以前、「セックスワーカーはすでに存在している」という言葉を聞いて、それから考えるようになった。
それまでは、セックスワーカーに対して、戸惑う気持ちがたくさんあって、とても順序立てて考えられなかった。
考えれば考えるほど混乱していた。
「からだを売ることは悪いこと」と思っていた。「なくした方が良いこと」とも思っていた。
「それは搾取なのだ」とも思っていた。個人的には「買う人間が憎い」「買う人間は、いやなやつだ」と思っていた。
そういう妄想をしていて、現実に触れていなかった。

でも、「セックスワーカーはすでに存在している」と言われて、わたしは、そこから考えなくてはいけないのだと思った。
今、まさに存在している人を無視して、人権も何も語れないのではないか。それこそ、人権無視だ。
今存在する人を、守り、尊重することが、人権を守るということだ。
わたしが、誰かのことや誰かの仕事を正義感にかられて「存在してはいけない」と思うことは、とても悲しい考えだった。

貧困は存在している。賃金格差も存在している。
いろいろな事情で、セックスワーカーを選んだ人がいる。
それは、わたしが忖度して良いことじゃない。
わたしが考えなくてはいけないのは、労働者が、いかに、居心地よく働けるかどうかだ。
そして、わたしはセックスワーカーではない。セックスワーカーだったこともない。権力もないし、現実に作用できる力も何もない。
だけれども、非当事者だからこそ、語れることがあるのではないかと思う。
セックスワーカーは、迫害される場合がある。
だったらセックスワーカーについて、まじめに考える人は、一人でも多い方が良い。
わたしはその一人になりたいと思った。

わたしは以前、セックスワーカーのサービスを買う人たちに、嫌悪感を持っていた。
サービスを買っているという考えもなく、「からだ」を買っているのだと思っていた。
だけど、セックスワーカーはサービスを売っているのだ、という考えに触れて、気持ちが整理されていった。
わたしと同じじゃないか。
わたしも自分の一部を売りながら生きている。そして、誰かのサービスや、技術、時間を買って生活している。
労働のことを、サービスと言っても良い。自分の切り売りと言っても良い。どっちでもそこに違いはあまりない。
わたしは、誰かに「自分の時間を売っている」と非難されることがない。
だったら、セックスワーカーも非難される筋合いがない。
そういうことが少しずつ腑に落ちていった。

www.amnesty.or.jp

セックスワーカーに限らず、人身売買や搾取、暴行は許されるものじゃない。
セックスワーカーの労働自体が、人身売買だと考えていては、労働条件の改善にならない。
そして、セックスワーカーたちが生活しやすい環境にもならない。
だからこそ、アムスティの採択は前向きだと感じる。

www.amnesty.or.jp

残念ながら、現在、セックスワーカーたちは、暴行されやすく、搾取されやすく、医療制度から排除されやすい立場にいるようだ。
わたしは、今まで、「だから、セックスワークはなくなるべきだ」と考えていた。
しかし、それは間違っていた。
「だから、セックスワーカーたちは、守られるべきだ」と考えるようになった。
他の職業よりも、偏見を持たれやすく、暴行されやすく、被害を訴えても却下されやすく、医療制度から排除されやすいのだったら、そのこと自体を問題にするべきなのだ。

だから、アムスティのQ&Aには感動した。
みんな読んでほしい。

処罰されると知っていれば、より裏に潜って、危険な行為をせざるを得なくなる。
仕事を選ぶこと、働き方は常に尊重されるべきだ。
わたしたちは、生きるために誰もが必死だ。わたしも含めて、みんな「そうせざるを得なかった」という決断をしながら生きている。
それは、いつだって、尊重されるべきだ。
間違った道だと他人が裁くことは間違っている。
裁かれることも裁くことも終わりにしたい気持ちだ。
わたしたちには、アムスティの言うように、排除されず、片隅に追いやられず生きる権利があるのだ。

参考t.co

c71の著書

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