歴史を教えているとき、三大悪女について話していました。
そのときに「三大悪男はいない。それは、歴史を書いたのが男だから」という話をしました。
男視点の歴史では、自分の信じる女と違う行動をとるものを”女”と分けます。それを悪女と呼びます。
フェミニストをアホフェミと呼ぶのと同じことです。自分に都合の悪い行動をとるものは、普通の者ではないと区別する必要があるのです。
曹操のことを”悪男”と呼ぶ人はいません。
武則天はたしかに恐ろしいですが、自分の係累を殺して、敵対者を皆殺しにした男は数えきれないほどいます。
悪女に対する言葉として、”悪漢”をTwitterで提案されましたが、悪女が、貴族王族政治家から始まって、上から下まで使われる言葉なのに対して、悪漢は、野卑な男についてしか使われません。身分が低かったり、貧しかったり、教育のない男にしか使われないイメージですがどうでしょう。腕力以外のパワーに乏しいイメージです。曹操って”悪漢”ではないですよね?極悪非道で頭がいいから人気があるのだと思います。
歴史上極悪非道な男はたくさんいましたが、それを一言で表す言葉は、いまだありません。日本語は、特に男をののしるための言葉に乏しいのです。女性をののしる言葉はたくさんあります。そこが、言葉の非対称でもあり、歴史の非対称でもあります。女偏の漢字は、悪い感情を表すものが多く、男偏の漢字はそもそも存在しません。それは、女というものがイレギュラーであるため、特別に言葉を作っておこうという考えの総意ではないでしょうか。実際には、人間の半分は女なのですが。
このことが示唆しているのは、言葉や歴史の見方が男視点に偏っていることです。
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