女には拒絶の言葉も罵り言葉もない。
言葉がなければ、従順に、なにかも受け入れらしかない。Fwordがないから、素早く罵れない。
女は、怒ってはいけない、乱暴な言葉を使ってはいけない、という抑圧がある。
「やめろ」ではなく、「やめてください」と頼まなくてはならない。
もし、「止めろ」と言ったら、「非常識で同情できない」と言われる。
「キモイ」という言葉は、感覚的な言葉だ。
男の言葉が「理屈」「説明」的な言葉だとすると、対極にある。
だからか、男は「キモイ」という言葉を嫌う。キモイと言った女性を、頭が悪いと非難する。男への差別だと言ったり、フェミニストが罵倒語を使うなんて、と言ったりする。
説明をするのは男性の文化だ。彼らは、感覚的なものをバカにする。説明しろと強いる。
それを無化する可能性があるのは「キモイ」という言葉だ。
相手に、やめてくれ、こういうことはしないでと懇願せずに、使える、唯一の拒絶の言葉だ。
キモイという言葉は、時として「相手を理解しようとすることをしない最低の言葉だ」と言われる。
でも、考えてほしい。男たちは、こちらの「キモイ」という言葉を理解しようとしていない。経緯も払っていない。
キモイと言われた男は逆上する。自分を虐げる女という風に認識する。
ただ単に拒絶しただけなのに、被害者みたいなことを言う。胸糞悪いことに、フェミニズムが連綿と紡いできた言葉を盗んでまで、否定する。
女には乱暴な言葉が許されてない。もし、乱暴な言葉を使ったら、物理的に、攻撃されることだってある。
「キモイ」という言葉は、数少ない、「お前には用はない、お前はわたしに近づくな」という意味を持つ言葉だ。これは、女の言葉だ。だから、男は否定する。
わたしたちは、相手を理解しなくていい。ずっと、わたしたちは、男を理解しようとしてきた。でも、男が女を理解しようとしてきただろうか。
お前を理解しない、とわざわざいう必要もない男と対照的に、女はずっと説明しろ、わかるようにしろと言われてきた。その「わかるように」のゴールは、男によって、位置を変えられてしまうから、相手を納得させることは構造的にできない。
相手は理解したくないから、ゴールの位置を勝手に変えてしまう。
それを防ぐのは「キモイ」という言葉だ。
お前はキモイ、だから関わるな。そういう意味がある。
だから、キモイという言葉を、わたしは悪者にしない。
丁寧な言葉で説明して、こちらの領域を侵害され、攻撃されてきた。それをはねのける言葉が女にはなかった。
キモイ、という言葉は、その始まりだ。わたしは、キモイ、と言う。相手を理解することを拒む。相手には私に対するリスペクトがないのだから、わたしもリスペクトを持たない。
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