生理が遅れている。
妊娠しているかもしれないし、してないかもしれない。
まだわからない。
からだに力が入らないし、気持ち悪いし、吐き気はするし、熱はあるし、起きていられない。
ずっと寝てばかりいる。
妊娠していたらいいなーと思うけどしてないかもしれない。
こんな残酷な世界に子供を呼ぶのはかわいそうだという意見もあるだろうけど、わたしは生みたい。
これはこちらの事情なので子供は気の毒だが耐えてもらうしかない。
わたしも耐えるしかない。
子供が生まれたら不自由なことばかりになるのも知っているけれど、面白そうなので生みたい。
六帖さんは、OSN(おっさん)が育児放棄や家事放棄をするという話を聞かせると、とてもびっくりする。
わたしが見てきた世界と六帖さんが見てきた世界は違うのだ。
六帖さんで、嫌がる人をホテルに連れ込むという設定で肩を抱いて引っ張るという実験をした。
嫌がる様子が体全身で伝わってきた。
今までわたしを襲ってきた人やホテルに連れ込もうとしてきた人や、体に障ってきた人は、これを感じていたのだと思って、愕然とした。
みんな、嫌がっているのを分かったうえで、腕を引っ張ったり肩に手を回したり抱き着いてきたりしたんだなと思った。
ショックだった。相手の気持ちがどうでもいい人は存在する。
言わなくてもわかる嫌がり方をしても、嫌だといわれても無視できる人は存在する。
わたしが観測してきたのは、主に男性が私にしてきた嫌なことが多かった。
六帖さんはそういう経験が少ないから、話すとびっくりする。
びっくりして、そんなのいやだ、という六帖さんはいい人だと思う。
六帖さんは初めからわたしを理解し、世話をしたいといって家に来た。
それを今でも実践している。
だから、わたしも安心している。
六帖さんは具合の悪いわたしをみて「家事しかできない、ごめん」と言った。
「僕は具合悪いの、何もできない……」と言っていた。
こういうやさしさっていいなあと思う。
わたしは六帖さんのことを尊敬しているし、六帖さんはわたしのことを天才で優しい人間だと尊敬してくれている。
こういう家を作れるなら子供産みたいなあと思う。
にぎやかになっていろいろトラブルもあるだろうけれど、妊娠していたらいいなと思う。
妊娠していても流産も死産もあるから、うまくいかない可能性はたくさんあるけれど、それでも、そうなったらいいなあと思う。