伊予かんが好物なので、スーパーマーケットで購入した。
何の気なしに買ったけれど、伊予かんを向いたとたん、郷愁にとらわれた。
母は、伊予かんが好物で、冬になれば伊予かんを切らしたことはなかった。わたしは何の心配もせずに、飽きるまで存分に食べ、もしくは、あまりにも好きなので節約して食べた。
わたしはおいしいものを食べさせてもらって育てられた。
香りや、酸味。瑞々しい感触。幼い頃を思い出す。平和なひとときもあったのだと。
ふいに、帰りたいと思う。
けれども、わたしは帰らない。
けっして。
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