公衆トイレ論文を使って主張している人たちへの批判


初めに断っておきますが、めっちゃ長い。それはわたしが怒っているからでもあります。真ん中まで読んで、この論文あてにならねーと思ってくれたら満足です。

https://www.buzzfeed.com/jp/mametaendo/transgender-matsuura

の記事について、根拠となる論文が載ってないから、検証不能だし、書き手として信用できない。あとから出してきてもその信用がた落ちだし、根拠があてにならないのだから、その結論も当てにならないという意味で、この記事に何ら価値がないのも変わらんけど、とツイッターで書いてたら

という引用リツイートが来て、「へええええ」と思いました。

別メディアで後出しで教えてきて意味あるのかな。あると思ったのかな。普通に不思議だけど。

で、われわれ(わたしと 公衆トイレ論文は信用ならない を書いた人)は買って読みました。

公衆トイレ論文は日本に適用できない

そして、この論文は、「女性専用スペースに誰もが入れるようになっても、性犯罪が増加しない」という主張を支えるには、不適格だと判断しました。

そして、驚愕の事実がわかったんですけど、遠藤まめたさん、この論文読んでないね。

ねえ、大丈夫なの?みなさん、この人の主張をうんうんうなずいてついて行ってるけど、この人のこと、少なくとも私は、信用できないよ。主張の最も重要な、根拠にしている参考文献を書かない、後出しで別メディアから放り出すように論文の名前を出すだけじゃなくて、読んでない。ほかにもこの論文を根拠にしている活動家見たけど大丈夫?読んでます?

読んでないとわたしたちが考える理由は、調査は法律の施行前後の比較なのに、彼は、法案がある都市とない都市で比較してると紹介してるよね。比較対象群がまちがってる。

これは、根幹なので間違えるのはおかしい。読んでたらうっかりでも間違えないよ。読んだけど間違えたんだとしても、こういう大事なことを間違えたまま、「犯罪は増えません。大丈夫です」って端振ってたわけですよね。支援者も、「そうなんだ」って鵜呑みにしてたんですよね。大丈夫ではないです。

この論文に突っ込みたいことはたくさんある

でね、この論文に突っ込みたいことはたくさんある。

差別禁止法・条例の内容は自治体によってまちまちなんですね.

つまり、比較するなら同じ法律で犯罪だってことになってないと、そもそも比較が成り立たない。

同じ法律で比較できてない

例えば、覗きが犯罪になるA自治体と、犯罪にならないB自治体では、同じ覗きが起きても、Aでは犯罪1になるけど、Bでは犯罪0になるのね。同じ事実があっても、片方は1で片方は0ですよ。でも、刑事事件での比較なので、この1の違いは大きい。サンプル数が小さいので、1の及ぼす影響は大きい。

皆さんご存知のように、ただでさえ、性犯罪は、検挙数も立件数も低い。ハードル高い。苦情数ベースでやるところ。

でも、この論文は、自治体に「犯罪数を教えてください」って手紙書いて、送ってきてもらったのを図にしたものなのです。それだけ。論文の体裁は整っているから、なんかすごいことしたみたいだけど、手紙書いて、データ送ってもらって、計算して比べた。という研究です。

そして、送ってくれた自治体もあるし、くれなかった自治体もある。比較している自治体も、裁くための法律が違うから、同じ行為でも、犯罪になるものとならないものがある。

自治体も大きい自治体じゃない。マサチューセッツの中の自治体の話だから、例えると、多摩の中で、立川と武蔵野と青海の公衆トイレの犯罪数をそれぞれ警察に問い合わせて、教えてもらった結果、法の施行前後で犯罪は増えませんでした、みたいなことです。人口規模がそんな感じ。で、それをだからほかの国でも適用できます、と言われて、納得がいくでしょうか。

多摩地域のトイレ事情を世界に適用できる????

(多摩に住んでいるひとごめんなさい)

環境の質的な差が考慮されていない

公衆トイレも、山の中にポツンとあるものと、町の中で人の目があるものと危険度がどう違うのか知りたくないですか。でも、そういうのが考慮されてないのですこの論文。

それぞれの固有の状況が質的に評価されていなくて、数だけ見て「そうなんだ」と思えますか?

それに、自治体によって、治安も同じではないですよね。多摩地域で例えると、小金井市と町田市の治安の差とか気になりませんか????

どっちが治安悪いとか。人口密度の差とか。この論文ではそうしたことが考慮されていません。一応条件が似ている自治体と書かれていますが、どんな風に似ているかわかりません。そして、マサチューセッツという狭い地域の中のことが、日本にそのまま持ってこれるのか、文化的歴史的背景が違いすぎます。

また、

法律の施行前後で犯罪数自体が変わる

 twitter.com
Twitter / ?
https://twitter.com/see_take417/status/1084326892415533056

という指摘があるように、法の施行前は、「男性が、女子トイレに立ち入ること」が犯罪でも、法の施行後は、犯罪じゃなくなるので、前後で「女子トイレへの男性の立ち入り」が起きても、犯罪数は、1から0に減ります。

自治体によって、集計の差が出ることも、論文の著者は認めています。集計の仕方が違ったり、法律が違ったりすれば当然です。

法律が周知されていなかった場合

そして苺畑さんが指摘したように、法律が周知されていなかった場合も考えておくべきでしょう。

法案が周知されていなかったら、法が施行された後も、今まで通り、表示通りに、男性は男性のトイレへ女性は女性のトイレに入っていたとします。そうしたら、問題は起きません。犯罪件数に変化があるわけがありません。

性犯罪の種類がひとまとめになっている

この論文の調査では、どのような犯罪がそれぞれどのくらい起きたのか、明確ではありません。性犯罪の刑事事件数です。ざっくりしてます。

アメリカでは覗きはあまりないかもしれません。後述しますが、覗きが問題になっていない理由が文化的背景からいくつかあります。また、日本では汚物をあさる、性器を見せる、音を聞く、覗く、などもよくあることですが、それらは、犯罪として計上されているでしょうか(一応そういう事件数を調べたと書いていますけど、アメリカ人にそういうhentaiがたくさんいるんだろうか。そういうので興奮する人とか)。通報しやすい環境でしょうか。検挙された後、ちゃんと起訴されているでしょうか。この差別防止法案が通るときには、かなり性急だったようです。強引に法案を通す地域で、取り合ってもらえると確信できるでしょうか?確信できなかったら、泣き寝入りするかもしれません。

アメリカにはhentaiはいるのか

そういうこともこの論文からはわかりません。アメリカにはそういうhentaiはいませんでした、という素敵な結果になるかもしれませんし、そうなると、やっぱり日本とは違いすぎて、使える根拠にはなりません。

日本の法律の場合

日本では、女子トイレの男性の立ち入りを、「建築物不法侵入罪」によって罪にしています。これは、管理者の意に添わぬ使い方をした時に使えるものです。だから、もし、日本で女子トイレにも性自認が女性な人はみんな入れよう、という風にした時には、罪に問えません。というのは、管理者の意に添わぬ、という部分が使えなくなるからです。

ほかにも、問題はあります。

2016年にマサチューセッツで、公共施設利用差別禁止の州法が成立しましたが、これはその時の調査ではありません。

それ以前の2014年にすでに性自認による公共施設利用の差別禁止法が制定されている自治体での調査です。どちらかというと、2016年の時の調査が知りたいですね。

報告されていない事件は含まれない

論文にもありますが、


一つは、データとして警察の犯罪記録を使っていることだ。この記録は信頼できるものの、報告されていない事件は含まれていない。性的暴行については30-35%しか報告がないという調査もある。

http://rokujo.org/2019/01/12/1589/

という部分を理解したうえで、犯罪報告数がもともと1とか0で、施行後もそれとあまり変わらない結果をみて「犯罪増えないんだな。よかったよかった」と思えるでしょうか。わたしは思えません。

だから、わたしは、この論文を根拠にして「性犯罪は増えない」とは絶対に言えません。日本に適用できません。

日本でも、管理者に対応してもらえばいいというけど、労働者としては不安しかない

TRA(trans rights activist)は「不審者がいたら、管理者を呼んで対処してもらえばいい」と言います。わたしは言われました。冷静に人を呼べないで恐怖に震えてたらトランスフォビアだって言われました。なんでや?

LGBT差別解消推進法案が通ると小さいお店もパート従業員は困る

「事業者が適切な対処をしなかったら、指導、公表される」としたら、そのとき、その事業者というのがたまたまいなくて、管理者としては、バイトやパートの人しかいなかったら、こんなに重い決断や判断をしないといけないのは、適切でしょうか?

自分が労働者という立場で、例えば、フィットネスクラブで、時給800円でバイトしているときに、更衣室に不審者が出たけど、本人は女性だと言っている、うまく対処しなければ裁判になるかもしれないし、でも、何もしなければ、女性の退会者が出るかもしれない、そういう状況になります。わたしは絶対無理ですね。上の人に電話をして聞ければいいですけど、そんな風にできない状況なんていくらでもありますから。

LGBT差別解消推進法案が通ったら、小さいお店や、古くからやっているお店みたいなので、こういうのがとっさにできなかったら、指導勧告公表となるようですが、普通に、労働者として、それに対応できるでしょうか。

アメリカのトイレの背景

アメリカのトイレの扉は、下に四十センチくらいの隙間があるあります。また、公衆トイレが撤去済みです。

それは、レイプが多発したため、公衆トイレ自体が犯罪の温床になるからです。扉の上下を短くして、どんな人が入っているか見て確認できるようにしてあります。もしくは、公衆トイレ自体、撤去されれています。公衆トイレがあるところは、そもそも治安が良いです。

それに、たいていの公衆トイレは、有料で、もしくはお店のトイレです。アメリカで公衆トイレと言ったら、大学のトイレ、スタバのトイレ、マクドナルドのトイレ、デパートのトイレ、駅のトイレなどを指すようです。

わたしが旅行に行った時には、警備員かお店の人が、誰が入っているか、問題が起きていないか、さりげなく注意している様子でした。誰も入れないように、鍵をかけてあって、使う人が商品を購入したら、鍵を手渡す形式のところも多かったです。

そういう文化のトイレと、日本とはだいぶ違うので、公衆トイレ論文を根拠に「犯罪は増えない」というのは無理じゃないかと思います。

アメリカではトイレは人権問題

日本のツイッターでしている議論って、アメリカでの後追いなんですよね。仕組まれている感じがすっごいんですけど、

こういう事例もあって、

かいつまんで言うと、ワシントンのスターバックスで、何も購入していない黒人男性二人が、トイレのキーを求め、スタバは応じなかった、という事件がありました。公衆トイレも、人種差別の文脈で語られます。

また、公衆トイレは、ホームレスの人権問題としての側面を持っていて、それはどうしてかというと、ホームレスの健康を保つためには、公衆トイレが必要だということです。アメリカでは先ほど説明したように、公衆トイレが撤去されているので、お店のトイレを使うしかありません。でも、使えなかったので、肝炎で14人亡くなったという事件もあって、人権問題としても扱われます。

日本と違うことは覚えておいてもいいかもしれません。

アメリカの公衆トイレは日本とだいぶ違います

そもそも、アメリカの店舗で、トイレのカギがロックされているのは、店舗のトイレが、売春や薬物使用の場となるからです。

ロサンゼルスの公衆トイレ、portland looは、ブルーライトで薬物が使用しにくくなっているうえ、周りから警察が監視できるデザインです。

日本とだいぶ違うでしょう。こういうデザインが必然性をもって設置される国と、日本とを比較できるでしょうか。

トルコでは、公衆トイレには必ず管理人がいて、チップを払ってはいるようになっていました。

国によって、トイレ事情はかなり異なるので、外国の事例をそのまま適用するのは難しいですね!

ロンドンでは、2017年に中立トイレを作るように提言された。それで、障害者や高齢者、幼児連れの家族も利用できるようになりました。

日本で、女子トイレにトランス女性を入れるか、入れないかで論争しているのと同じ問題が、各国でも起きているんです。

(日本のフェミはだからダメなんだという理不尽な非難はつらいですよね)

ほかの権利運動と比較すると

わたしは障害者運動とLGBTの運動を比較したいんですが、障害者運動は「困ってるからなんとかしろ。何とかしないなら破壊してやる。泣き落としもする。わたしたちの要求を通せば、結果的に全員に利益もあるかもしれないが、それはあくまで結果的な話だからとにかく整備しろ」というスタンスで、LGBTは「同情してほしい。こちらのいうとおりにしても、別に損はないんだから差別をするべきではない」みたいなスタンスな気がします。文化が違う。

これを偏見だと思われるかもしれませんが、十年くらい「アライ」になろうとしてなれなかったからそう思うんですよね。わたしは、後天的障害者当事者です、ちなみに。

障害者運動では、支援者も、支援者という当事者、傍観者も傍観者という当事者だという考え方があって、支援者もケアされるべきだし、障害者と支援者の立場は違うから求めることも違う、ということがある程度共通認識としてある気がします。家族会もあるし。お互い立ち入らない部分があるというか。支援者も自分の利益を追求していい雰囲気がある。

でも、「アライ」はゴールがないというか、学んでも「学び足りてない」みたいに突き放されて「なんでもイエスといいなりにならないと認められないんか?」という気持ちになりました。自分の利益を追求してはいけないみたいな。むしろ不利益になっても、「相手のほうがマイノリティなんだから」と自分の要求を引っ込めさせる文化がありますよね。アライが人間として尊重されている感じがしないんですけど。うなずきマシーンとしてしか認められてないじゃない?

それにしても、今のシス女性とトランス女性の関係。なんで男性は上からモノ言うのかまじでわからないですけど。一番むかつく。

結論

結論としては、この論文はあてにならないし、日本に当てはめるには文化が違いすぎるし、これを根拠に「性犯罪は増えません」って言っている人を信じたらいけません!ということです。

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