- 作者: 田房永子
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2015/01/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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おもしろくて、おしくて、ちょっとずつ読んでいます。
前書きですでに泣きそうになった。こんなにもさらけ出した文章を人は書けるのだ…と思った。
結婚したい、しないと生きていけない女たちのはかなさについて書いてあるところでは落涙しそうになった。わたしの周りには、そういう女性が存在しなかったので、でも、わたしの心にいる女子がそうだそうだと言っていた。
田房さんの本をきっかけにして、彼氏と風俗について話し合った。
彼氏がおかあさんがAVに出てたらいやだ、と言っていた。
わたしは、まあ、それはいやかもしれないな、と思いつつ、「AVみたことがないなら、それは言っても許されるし、でも、AVみたことがあるなら、それは理屈上とおらないよ、どっちかだよ」と言った。
彼氏は
「この人の本は読みたい。男がつきあいとか興味があっていかなければわからない場所のガイドブックになると思う。こんなにも、風俗について書かれていて、ユーモアがあって面白い本はないと思う」と言っていて、ぱらぱらちょっとずつ読んで、前書きは読み終わったらしい。
わたしは感動して涙ぐんだけれど、彼氏は「ちょー面白い」と言って笑っていた。
…この温度差はなんだろうか。
彼氏は、風俗を行く方も、働く方も、あんまり道徳的に良くないと思っている。他の仕事もあるのに、それを選ぶのはエロい人なんじゃないかと言う。なんで選ぶのかわからない、っていう。貧乏でもしないひともいるんだから、って言う。
でも、貧乏ってすごくつらいから、わたしは風俗で働く人の気持ちがわかるような気がする。
何年働いてもお給料が上がらないとか、不安定な仕事しかできないとか、すごく絶望する。女の人はよっぽど恵まれていないと、安定した仕事に就けない。
だから、みんな結婚したがる。
わたしはエロい人って言葉の意味がよくわからない。
それに、仕事を選ぶのはお金のためで、お金が良いから、選んだと思う。わたしの場合はお金が稼げるから塾講師を選んだよ。
セックスが好きだからってひともいるだろうけど、好きなだけでは勤まらないハードな仕事だと思うのだよ。ていうか、セックス好きだから選ぶ人がどれだけいるんだろう?そんなにはいない気がする。体力的にも精神的にも大変だ。内蔵に指とか突っ込まれたり、全身運動するわけだから。
エロい人を演じる、こともあるだろうけれども。
それより、お金じゃないかなー。
セックス好きで、やってると思ってる人って多いのかもしれない、と思ったら、好きでやってる仕事でお金もらえていいじゃん、ってことになるのかなあ。セックス好きだから、風俗やるひともいるんだろうけど、わたしの感覚だとピンと来ない。むしろ、彼氏がどうしてそういう発想になったのかが知りたい。わたしは好きで塾講師しているけど、でも、なー。よくわかんないや。
わたしは教えるのが好きだけど、だからって、無給で教えたくないから、そういうことだと思う。
わたしは風俗に行くのは、独身でパートナーがいなければ良いんじゃないかと思うようになった。むかしは、女を買うなんて、良くない!と思っていたけれど、風俗では女を買うんじゃなくて、サービスを買うんだ、って教えてもらってからは、いいんじゃないかなあ、と思うようになった。
いいんじゃないか、とわたしが許可を出すまでもなくたくさんの方が働いたり、ご利用なさったりしているのですが…。
でも、彼氏が風俗大好きで通いまくっていたんだよ、てへ、みたいな人だったら、ちょっとやだなあ、と思うわたしもいるし、正直な気持ちが自分でもわからない。わたしは浮気が悪いことってのもぴんとこない。
そんなこと言って、彼氏が浮気したらどうするの、ってよく聞かれるんだけど、どう思うのか、よくわからない。そのときにならないとわからない。
彼氏はわたしの道徳心の欠如、というか、自由な考え方が危険だ、ってことを良く言う。良く言うんだけど、心配しながら、結局、わたしと付き合っているんだから、自由な考え方に親和性はもともと高いんだと思う。
わたしは、塾で頭脳を売り物にしているけれど、べつに脳みそは売っていない。
それと同じように、風俗嬢はサービスを売っているけれど、体は売っていないんじゃないか、というのが最近の私の考えだ。
風俗の仕組みと、塾の仕組みは似ている。
お客さんを店で紹介してくれて、働くと、店からバックをもらう、ってところと時間制なのと、夜働く仕事なのが似ている。
だいたいの仕事は風俗と似ている部分があるそうなのだけど、わたしは自分の仕事と近づけて考えるしかないから、風俗の仕事は塾の仕事と似ているなあと思う。
わたしは高校生のころから風俗に興味があった。
男の人を喜ばすところらしい、ということが知りたかった。性的な知識がなく、性行為をするところだ、ってことも知らなかったのだ。
風俗って何するところなのか知りたい、そういうと、男子は卑猥そうに笑った。
ちんこをたてて、それをなんとかする、ってのは、卑猥って言うよりも面白い。言っては悪いが滑稽だ。ちんこがたってる、って状態は人体の一部が変形しているってことで、脳も興奮していて、その人が興奮している、ってことだから、面白い。おもしろいと言って良くなかったら、興味深い。
その性欲を持っているひとが、愛しい人で、自分に対して向かっていたら、嬉しいし、そうじゃなかったら、悲しい。
その悲しさはラビリンス。
女の悲しさは迷宮入り。
そして、悲喜こもごものドラマが始まってしまう。
性欲が自分に向かってなかったら、の部分で、浮気でも、男に怒りが向かうし、風俗でも、風俗に行く男に怒りが向かう。でも男に対して怒ったら、ちんこを自分に対してたててくれることがより減るから、それが怖くて、当たり障りがないように、風俗や浮気相手に怒りがむくんだと思う。
性欲が自分に向かっていても、相手のことを好きじゃなかったり、気分じゃなかったら、迷惑なだけだ。
わたしは自分の性欲のことをとても愛している。
性欲の言うことはたいてい正しい。
親離れできたのも性欲のおかげだ。性欲は親離れさせるパワーがある。
それは親への反逆のパワーなのだ。
そして、新しい巣を作るパワーにもなる。
でも、そうじゃないのが、風俗。
風俗は悩ましい。
わたしはセックスをしたくて、死にそうに苦しくなったことがある。
毎日セックスのことを考えてた。
そのことを彼氏に話したら、「走れば良い」と言っていた。
そういうことで解決しないんだよ…。涙。
さみしかったり、一生このまま誰ともセックスしないで暮らすのかな、とか、褒められたり可愛いとか言われないのかなとか、そう思ったり、野蛮なまでのセックス欲≠性欲が高まり、どうにもならなかった。
でも、それが、いろいろと動く原動力になって、切羽詰まった感じで、恋人を捜すのに必死になり、神頼みまでする結果となったので、性欲を満たさなかったおかげで、動けたってのもある。
前の恋人に未練もあったり、引きずったけれど、性欲が満たされなかったおかげで、そんなことにかまわず、前向きに恋人を捜さないとどうしようもない、ってことになれたのかも、と少し思う。
性欲ってエネルギーの一種だから、使いどころが間違わなければ、良い風に使える。
そして、使いどころを間違えば、悪い風に使える。
もっていきどころがなければ窒息する。
今は、性欲も平穏だけど、また、性欲の波が来たら、たいへんだなーと思う。
できるだけ我慢はしたくないなーとも思う。
なんか、とりあえず、風俗を男同士のコミュニケーションの道具にする人は、ちょっと好きになれず、単にひとりで楽しんでほしいって、思う。
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性欲は親離れするエネルギーになるって、なるほどと納得しました。
私は性欲=完全に悪と どこかで決めつけているところがあって、それに反発する力がかえって性欲として溢れてくるように思えます。
生きる力っていうと野暮かもしれませんが、親はそういう牙を抜こうとしてきたりするので、精神的に殺されないためにも性欲は肯定しないとなと思いました。
そうですよー。性欲は牙です。
良いことですよ。生きる力があるってことだから。
わたしは自分の性欲が強いところを愛しています。自分を生きている感じがするから。
と、思います。