加害者に興味を持つことはもうやめる

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加害者にずっと興味を持っていた。

一連のことを通して、興味を持つこと自体が危険なのだと知った。
ただでさえ、彼らは、人たらしで、人当たりがよく、魅力的だ。
見極めるのは難しい。
だから、知った瞬間に帆を張って逃げるしかない。

だけど、一度被害者になった人は、逃げ足が遅い。
裏切れないと思ってしまう。擁護したくなる。
そんな悪い人じゃないはずだって。
自分が悪い人と付き合っていたと認めたくない気持ちだけじゃなくて、ただ、親切な気持ちで。

わたしはその吸引に耐えられない。区別もつかない。渦に巻き込まれてしまう。
わたしが加害者の心性に興味を持ったのは、自分の傷に理由を付けたかったからだとわかった。
なんだかんだ言って、理由なく、自分が傷つけられたと思いたくなかった。彼らにどうしても、切迫した何かがあって、自分が犠牲になったことで、せめて彼らが幸せになってほしいと願っていた。
それは歪んでいる願いだとわかっていても、そうすることでしか、いられなかった。わたしが犠牲になって丸く収まればそれで良い。仕方がない。だってもう傷ついてしまったから。治らないから。だったら、世界が少しでも良い方に進んでほしいと思った。

だけれども、のぞいた加害者の心の中は混沌とした自己愛でしかなく、獏としたまとまりのない何かであって、誰かが救ったり、助けたりすることはできないように思えた。傲慢。傲慢は変化を受け入れない。
つまり、わたしは加害者をケアできないし癒せないし、そして、わたしの犠牲は無駄だった。
わたしはそのことを飲み込まないといけない。つらいけれども。加害されたときと同じように辛いけれども。

今回、直接的にわたしが受けた被害はなかった。わたしは加害されていない。でも、わたしを加害した人は似たような思いだったのだろうと思う。それで良いじゃないか。わたしはけなされ貶められた。自分で自分を守れず、危険に飲み込まれた自分を、もう、せめて、自分だけでも許していいんじゃないか。
危険に対する感知ができなかったのは、仕方がない。わたしは悪くないって、自分だけでも思って良いんじゃないか。

加害者から学べるものは何もない。彼らには自己愛しかない。他者がいない。他者に対する愛がない。だから、わたしは奪われるだけ。消費されるだけ。ただひたすらに利己的な人のことを、わたしは理解できない。だから、理解しないままでいよう。常に逃げていたら、理解していなくても良いんだから。

わたしは、法律を理解している。マナーもある程度理解している。わたしは、自分が被害者になったことで、誰かを加害することを過度に恐れていた。無意識に加害するんじゃないかと思って。

わたしは恐ろしかった。自分の身に起きたことを、他人にしてしまうことが恐ろしかった。
だから、わたしは目を塞いだ。そして、恐ろしいのに、加害者のことを知りたかった。
わたしは、再び目を見開いて、きちんと事実を見ようと思う。
加害者は、自分のことしか考えていない。わたしは加害者のケアを出来ない。わたしは彼らを幸せに出来ない。
わたしは自分を幸せにできる。そうしたら、少なくとも世界の一人は幸せになる。
加害者を幸せにすることで、世界を良くするんじゃなくて、自分が幸せになることで、世界を少しでも良くした方がずっと良い。

わたしの母は人当たりが良かった。良い人だと思われていた。頭も良かったし計算高かった。
わたしは母のことを知りたかった。どうして、こんなことをするんだって。

わたしは領域を破壊されて育った。領域を破壊されると、適度な距離感を持つことが難しくなる。
だから、加害する人から離れられなくなる。
加害する人は生きる理由を与えてくれる。わたしが加害される、まさにそのことによって、加害者はその瞬間、生きる目的に燃えているように見えるから。

母のことがわかれば、わたしの傷に意味があって、理由があって、だから仕方がないんだって思えるんだと信じていた。
でも、たぶん、理由はなかった。
わたしは彼女の理由を知らなくて良い。
わたしに加害を与えて来た男性たちのことを知らなくて良い。

他にももっと知った方が良いことはたくさんある。美しくて身につけても痛くない下着の種類とか、セージを焚くとさっぱりするとか、無水エタノールに精油を入れてスプレーするといいにおいがするとか、ローズマリーはプロテクトで、ジュニパーは清めるとか。

加害者のことを知れば、傷が癒えると信じていたのは、わたしが傷ついていた、まさにそのこと自体の理由だった。
それには根拠がなかった。費やした時間がむだだったことを認めるのは辛い。自分に非があるなら、まだよかった。そうしたら、その非を直せば、二度と同じ目に遭わない保障があるのだと思えたから。でも、非がなくても、狙われたら、それでおしまいなのだ。
わたしは加害者の心性に期待するのをやめる。
なるべく近づかない。知りたいときは、書物というクッションを通して知る。直接関わらない。
加害者だとわからないで知り合ってしまったら、わかった瞬間に逃げる。
そのことを恥ずかしがったり裏切りだと思わないで、とにかく自分を守る。
わたしには使命がある。時間には限りがある。生きていくことを楽しもう。加害者は寂寥の世界を歩めば良い。

c71の著書

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