頭の中に呪いのごぼうが植わっていた。
レイキヒーリングで抜いてもらった。
抜いてもらうまで、頭に呪いのごぼうが生えていることに気づいていなかった。
「呪いのごぼうが抜けていく感触がある!」と言ったら、
「抜いていますから…」と言われて面白かった。めりめり、ぴしびし、根っこが抜けていく感じがした。
茶色い水晶のような透明な石を使っていたのを後で教えてもらった。
抜けていくごぼうが見えた。
目の裏にも、いくらの粒のような形の、呪いの卵が植えられていた。それで、ものごとが正確に見えなかったんだなと思った。
蜂の巣思考だとか、分断思考だとか、そういうところがあって、できないと思い込んでいるって言われていて、そうなのかな?本当にできないんじゃなくて?わたしには能力が全然ないです、みたいに答えていたんだけど、そうかあ、呪いのごぼうが植わっていたか、そりゃあ、しかたがない、わたしは何も出来ませんって、能力が発揮できないように押さえつけられていたんだなと思った。
おかあさんが呪いのごぼうを植え、勉強だけできるようにして、あとの能力は閉じ込めるようにせっせと育てられて来たんだと思った。
だから、いろいろな人たちが、わたしを発見し、利用し、けがし、壊し、ののしり、謝罪を求め、許しを求めて来たんだなと思った。
わたしは形を変えて、変幻自在の、人の感情を慰撫するマシーンのようだった。相手の都合によって変わるのだ。求められている役割を演じることができるマシーンだったので、自分の気持ちに疎かった。
そして、自分自身が被害を呼び寄せているとまで言われたのだった。
そうじゃなくて、加害者たちは、わたしの呪いのごぼうを発見して、それを目印に集まっていたのだと思った。呪いのごぼうは、目印でもあり、わたしのコントローラーでもある。ごぼうを使って、わたしを支配して来た人たちはたくさんいるのだ。
わたしはずっと、加害者に許しを乞い願う気持ちを抱いて来た。
そのことに、さっき気がついて愕然とした。
わたしが加害者を許すのではなくて、わたしが、加害者に許してほしかったのだ。
わたしが、間違っていて、加害者が、正しい。
そういう風に思っていた。
だから、間違っているわたしが、罰を受けるのは当然のことで、正しい彼らがわたしを利用するのも当たり前だと思っていた。
当たり前だから、加害者に許してほしいと言われたら、許した。
怒りを抱いている方が難しかった。罪悪感が芽生えた。許さないといつまでも苦しいのは自分だよと加害者に言われてうなづくわたしだった。
わたしが弱いから、誘っているから、欲しているから、加害者を呼び寄せるんじゃないかと思っていた。
実際、わたしにそう言ってくる人がいた。
わたしはその人を退けたが、その人は「あなたは真実から目を背けている」と言わんばかりだった。
自分が聞きたくない意見を聞かないと、後悔する、良くならない、と言う人もいた。
そうじゃないのだ。
わたしは悪くない。
ごぼうが植えられていたから、わたしは、ターゲットにされ続け、弱り、怯え、脅されて来た。
しかし、ごぼうがとうとう抜ける日が来た。
この日のために、わたしはヒプノセラピーやパーソナルデザインや整体を受けて来たのだと思った。カウンセリングやら精神医学やらそういうものの力を借りて来たのだと思った。
ごぼうはわたしの真実だった。
ごぼうがわたしのすべてだった。
でも、抜けたらただのごぼうだった。
ごぼうがアンテナのようにわたしを支配していたが、わたしはヒプノセラピーで死んだので、ごぼうが抜けていくことがもう恐ろしくなかった。
順番として、ヒプノセラピーで一度死を体験しなかったら、わたしはごぼうを抜くことを許せなかった。
セラピストと協力して、わたしはあたまの中の呪いのごぼうを抜いた。
そして、加害者たちに、許しを願っていた自分を見た。
見えないようにしてきたものがなくなったら、簡単な話だった。
許すとか許されるとか、謝るとか謝られるとか、善と悪とか、分けることが意味なかったんだな。
わたしがわたしであること、コントロールされないこと、自分の感じ方をただ見つめること、それだけが大事だったんだな。
そして、気持ち悪いものは気持ち悪いで済ませていいんだ。
そういうことだった。
檻がないのに、檻があるように振る舞っていた。
檻があると教えられていたから。
外の世界は恐ろしいのだと教え込まれていた。
だから、外を切望しているのに、出ることができなかった。
楽しいこと、嬉しいこと、気持ちがよいことに罪悪感を感じるように。
何か楽しいことがあったら、その代わりに悪いことが起きるという呪いを。
人生には楽しいことと苦しいことが半々なのだという詭弁を弄して。
鍵なんてかかっていなかったのに。
鍵がわたしを守ると言われて来たけれど、鍵がわたしを守ったことなんて一度もなかった。
わたしの行動を縛るだけの鍵。
加害者たちはいつも鍵を開けてやって来た。いや、鍵なんて、もともとないんだから。
わたしの自由を縛るだけの檻を、あなたを守るものだと嘘をつかれていた。
呪いがごぼうの形をして、頭の中に植わっていた。
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