ほしくないものはバンバン買うことができるのに、本当に欲しいものは買うことができない。
自分が本当に欲しいものが何か、自分でもわかっていない。
伴侶によると、お金を使い切らないといけないと思って、「がんばって」使っているように見える。
買わなくてはいけないものを検索して探しているみたいに見える。
伴侶は、わたしがほしいと言っていて、迷って、結局は買わなかったものが本当に欲しいものなんじゃないかと言った。
わたしは、エステに行く計画を立てていた。デパートでクリームを買うのを楽しみにしていた。tamanohadaのシャンプーを買いたかった。でも、どれも、買わなかった。
一か月か二か月、ずっと計画していたのに、お金が入ったら、それらを手に入れる前に、ほかのものに使ってしまった。
指摘されて、はっとして、それから奈落に落ちていくような気がした。真っ暗な中に閉じ込められたみたいな。
その真っ暗な世界はわたしが作ったものなのだ。
つまり、わたしは暗愚だってこと。
真っ暗な世界で、手探りで何がほしいか欲望を探す。これが手に入れば、きっと幸せになれる、これを今買わなかったら二度と手に入らない。そう思って、いつも焦る。焦って、頭が真っ白になって、何も考えられない。ただ、わかるのは「今買わなきゃいけない」ってこと。本当はそんなことないのに。
お金を使い切らないといけないこともないのに、使い切らないと「盗られる」と思っている。
でも、盗った人間はもういない。
父親はわたしからいろいろなものを盗った。母親はわたしの人生を盗った。
母親はわたしの若さに嫉妬して、それでいて、自分の分身として認識しており、自分の代わりに栄達を望んだ。わたしはずっと自分をマリオネットみたいに感じていた。
買い物をすると、嘲笑され、怒鳴られ、返してきなさいと言われて、自分がほしいと思ったものはいつも間違っているのだと学んだ。
でも、奴らはもういない。残念ながらまだ生きているみたいだけど(こればっかりは早く死んでくれないと困る)。
わたしが人生に登場しないようにした人間(親や同級生)のせいでなのか?わたしは自分の欲望を正確にとらえられない。
あいつらのせいでなかったら、わたしは大バカ者なので、頭を砕いて死んでしまいたくなる。
帰宅してからずっと自分を破壊してしまいたい。自分の欲望を正しく理解することもできず、ほしいものも買えず、それなのに、散財するなんて、本当に馬鹿だ。
エステに行きたかったな。クリームもほしかったな。練香水もほしかった。でも、もうだめ。
はっきりいって、わたしみたいなできそこないが生きている意味が分からない。わたしなんていなくなったほうが、みんなのためになるだろう。わたしもわたしがいないほうがずっといい。いなくなりたい。消えたい。どうしようもない。出口が見えない。苦しい。
本当はそうじゃないと思うんだけど、そして、伴侶はそんなこと言っていないけど、
「わたしがいないほうが、ずっと彼のためになるんじゃないか」という疑念が頭の中に充満していて、ただ申し訳なくて、申し訳なさを表現するために消えるしかないと思ってしまう。