わたしは、障害者手帳二級なので、障害の程度は重い方です。
でも、生活の不自由は、意外と少ないので、それはなぜか考えてみました。
障害者手帳の等級は不思議なので、説明は難しいです。
わたしは、人を頼るのがうまいのが一番の長所だと思います。
恥ずかしいと思うことが少ないのです。
ヘルパーさんを呼ぶのに抵抗がないです。下着を触られるのがいや、とか、散らかった家を観られるのがいや、という気持ちはなくはないのですが、ある人に比べたらないです。いやなことはいやと言えばいいと思っているからです。
ヘルパーさんを呼ぶと、家事をするのに抵抗がなくなります。
もし万が一、明日もあさってもしあさってもお皿が洗えなくて洗濯もできなくて、片付けもできなくて、掃除機もかけられなくても、木曜日になればヘルパーさんがきてくれると思います。
そうすると、なぜか、こまめにできます。
整頓してもらって、家の中に秩序が生まれるので、頭の中の混乱も減ります。
家が散らかっていると、パニックが起こって、ますますできなくなります。
でも、一度整理してもらうと、いろいろなことが余裕を持ってできるようになります。
これは、生徒さんが、「もし勉強していてわからないところがあっても、いざとなれば塾で先生に聞ける」ということがわかると、自習ができるようになるのと同じ心理だと思います。
やってもやらなくてもどうせできない、と思うよりも、助けがあると思うと、苦手なことやできないこともできるというものです。
わたしは、片付けが絶望的にできません。もとあったところに戻すことができないのです。よくわかりません。あたまでは簡単なことだと思うのですが、いざとなると、できないのです。料理も皿洗いも洗濯も同じです。
でも、助けを求めたり相談をしたりすることはばつぐんにうまいのです。
苦手な人はプライドがあるから、ぼかしていうところを、わたしは単刀直入に言えます。だから、困ってないように見えるんだと思います。
得したと思います。
苦手なことをやるよりも、得意なことをがんばるほうが楽しいです。
頼るのが下手な人は、わたしにはうだうだ言うくせに、肝心なところで、つまり役所とかで、ずばっと困ってることを訴えません。強調しても伝わらないくらいなのに、少なめに、軽めに言うのです。
これは損です。
困ってることを、具体的に言わないと、相手はテレパシーもないので、わかってくれません。
口べただったら手紙でもいいと思います。
テレパシーもない上に思いやりもない上に想像力もない相手に交渉するためには、図々しくいてもいすぎることはありません。
相手は、公務員だったり医者だったりします。つまりは、単なる健常者ではなく、スーパーエリートです。スーパーエリートだから故の余裕故の思いやりもありますが、想像力に限りはあります。
わたしたちは、かわいそうじゃありません。タフでもありません。でも、生きていかないといけません。
わたしは、幸い、そういう運はいいらしくて、役所の人も医療の人もみんな親切でした。
みんな頑張ってるね、たいへんだね、とほめたたえ、ねぎらってくれて、わたしの生活を支えてくれています。役所とつながって、本当に暮らしが楽になり、自己肯定感があがりました。
親に頼らなくても生活ができる範囲が広がったので。
ヘルパーさんや支援を頼ると、できることが減るのではないかと心配されました。
でも、逆で、できることや自由さは増えました。
頼り切りにもなっていません。
むしろ、次に会ったときにびっくりしてもらいたくて、頑張れます。
狭い世界でうだうだ悩んでいるよりも、生活の中に、他人が入ってもらえると、世界がそれだけ広がります。いろいろな話をしながら、料理をしたり、片付けをします。今日はニラ玉と、ジャーマンポテトの作り方を教わりました。
これは、頼り切りになっていなくて、わたしの世界を広げることです。
ひとりではきっとできないでしょう。
本棚の整理もしてもらって、頭の中がすっきりしました。心が落ち着いて疲れもとれました。頑張って、今日も働けそうです。
本棚が乱れすぎていて、それを見るたびに、パニックが起きていました。
片付けてもらって、それがよくわかりました。
そのせいで、わたしの能力の性能が全体的に落ちていたようです。
ロボットみたいです。電圧下がるみたいです。
わたしが得意なことが、文章を書いたり、言葉で説明したりすることで運がよかったです。
自閉症スペクトラムの人は、コミュニケーションは苦手だと思われていますが、表現能力とは必ずしも関係がないのだと思います。
わたしの場合は、対人関係が苦手なだけで、表現能力には、恵まれています。
特に、多数の人間と社交的に振る舞うのは難しいですが仕事になると、フォーマットがあるので楽です。気遣いが苦手なのです。
男の人だったら料理ができなくても掃除ができなくてもあんまり言われないんだろうし、とりあえず、得意なことをします。
そうすると、つられて苦手なこともできる気がします。