条件は魅力

年始年末に恋人と会ったのだけど、同棲はしないと宣告された。
それは、けじめがないと思うし、社会的に良いとされていないことでもあるから、自分で納得できない。同棲のメリットは、デートするだけではわからない一面が見られる、と言うことだと思うけれど、一緒に暮らしてわかることは、たいてい、悪いことだから、究極的には別れることにつながると思う、とのことだった。

筋が通っていたので、納得した。
理屈を通してくれるとすんなり理解できて、意味なく気分が悪くなったり不安になったりしないで済む。こういう配慮はありがたい。

なので、今後、平日にはあまり会わず、週末に会うことになりそうだ。

彼は、常識的で、社会的規範を大事にするタイプだ。わたしにはそもそも規範というものの大事さがわからないので、理屈がないと理解できない。なので、お互いの性質をすりあわせるとこういう会話になる。

彼はまじめだけれど、柔軟性があり、わたしに合わせてくれている。そこに少し感激した。わたしにわかるように話をしてくれている。

アスパーガールに、パートナーは情緒的に安定し、常識を教えてくれ、予測可能な行動ができる穏やかな人で、サポートしてくれる人が良いと書いてあった。誰でもそういう人が良いに決まっている!そんなやつはいない!いてもわたしとは付き合うはずがない!と思ったものだったが、いたのでよかった。(のろけ)

つきあっていることがいやになることもあるけれど(人付き合いの一種だから)、長く付き合っていきたい。

彼はわたしの雰囲気が好きだそうだ(面白いらしい。街コンにきていた他の女性は美人もいたけれどピンと来なかったと言っていた。もっと常識的なひともいただろうに)。
人は自分にないものを求めるのだろうか。

わたしは、出会いを求めるにあたって決めていることがあった。
それは、自分の感覚だけで好きにならないこと。理性のあるうちに条件を設定してそれから好きになること。

わたしにとって、人を好きになるのは簡単なことだ。(すぐ冷めるけど)
しかし、それではダメなことにあるとき気がついた。もう子どもじゃないのだ。周りにも自分にもものすごく大変なことになる。
お金と性が結びつくと何が起きてもおかしくないのだ。

取り返しのつかない事態にもなりかねない。


条件で好きになるなんて不純だと思っていたけれど、条件でフィルタリングする、というのは、自分にとって、安全を確保する、ということだ。
嘘をつかない人、清潔な服装をしている人、暴力を振るわなそうな人、理屈が通じる人、何はともあれ働いている人、怠け者ではない人というのがわたしには大事なことだ。

どういう人が自分にとって安全なのか確認したあとに好きにならないといけないのだ。
友だちだって、自分なりにフィルタリングしている。なのに、一番接する時間が多い恋人になる予定の人にだけフィルタリングしないのはおかしい。
「条件」とは、自分にとって異性の何が魅力に感じるのか、はっきりさせることに他ならない。

「条件」は、男性の個性を消して、肩書きだけ見るって意味じゃない。
個性を抽出してみて、自分に取って大事なところをチェックしていくってことだ。
それは、女性が自分を大事にするってことだから、とても良いことだ。

相手が持っている能力を評価する、ってことでもあるから、条件をクリアしている相手に出会えたら、滅多にないことだからこそ相手を尊敬しやすくなる。

男性にもまじめに考えてもらいたい(顔が可愛いとか胸が大きいとか家庭的に見えるとかそれで嬉しいんだったら良いんだけど、現実的になった方が自分自身を大切にできるし、相手のことも尊敬して、尊重できると思う)。

お金が魅力に感じることもあるだろうし、性格、容姿、体臭、服の好み、趣味、声質、などいろいろあるだろうけれど、そういうのは決めてしまって良いのだ。決めてしまって、出会ったら、その人を好きになればいいと思ってから、数日後に今付き合っている人と出会った。
彼はとても慎重で思慮深くてイライラするほどだったけれど、付き合ってからはその性質は誠実さ以外のなにものでもなかったし、安心していられる。

どういう人とつきあいたいのか、どういう基準で選びたいのか、それが高望みだとしても、はっきりさせるのは大切なことだ。
そうすれば、出会ったときにわかるから。
(アスパーガールにもまず望みをはっきりさせましょうと書いてあった。発達障害の女性はだまされやすく流されやすく搾取されやすいから)

男性のいくつかは、女性が男性に条件を求めると文句を言うが、条件と言うのは魅力のことだ。
仕事を頑張ったりお金を稼いでいるということは安心に結びつきやすいし、賢さは生きていくために必要なことだし、柔軟さは困難を乗り越えていくために大切だ。
男性も、女性が海外旅行を趣味だと言うと「なんのアピールにもなっていない」と思うのかもしれないが、言っている人はたぶん、正直に「海外に行くのはとても楽しくリフレッシュできる、自分を知ってほしい」と思っていっているんだと思う。

でも、エントリの男性みたいに、すべての会話がアピールかフィルタリングだと思ってしまう人にとっては、相手の個性を読み取れないんだと思った。

エントリにある話だと合コンは対等なはずだから、すべての会話が男性をもてなす言葉だというのはありえなくて、海外旅行が好きだ、というのは一部漏れ出た本音だろう。わたしも海外旅行は好きだ。楽しいから。

女の人は、一人一人別々な人間で個性がある。なのに、個性があるように見えないのはきっと表面のことだけ気にしているんだろう。
だから、退屈で、人脈扱いされているみたいで、誰かを必死になることもなく、自分の鏡みたいに相手のことが見えてしまって、つまらないんじゃないかなと思った。

わたしは人に条件を求めるのはいいことだと思う、積極的にした方が良いと思う。
不動産で例えると、予算がないと不動産が買えない。だけど、どんな部屋に住みたいのか考えないとそもそも買いたい部屋が選べない。それから、現実的になって、自分がどんな予算でどんな部屋に住めるか考えられるんだと思う。
不動産で例えたのは、他意はなくて、不動産のことを調べるのがわたしの趣味だからだ。

そして、世の中には夢見たいに理想の不動産って言うのはなくて、現実の不動産があって、そこから選ぶものなんだと思う。不動産で考えるとわたしにはわかりやすい。
広い部屋に住みたいけど、あまりにも広いと掃除が大変だし暖房もたいへんだから、ある程度現実的な広さが良いとなるとか、そういうことだと思う。

不動産って、条件があればあるほど具体的に探しやすかったり、妥協ポイントが考えられて、現実的に探しやすくなる。だからといって、理想を追い求めすぎると、条件に合う部屋がなくて、現実的に住める部屋がなくなってしまうとか、理想の間取りでも住んでみたら住みにくいとか、そういうことも似ていると思う。そのバランスが大事だ。

わたしはそのことに気がつくまでは、いつかきっと良い人がいる、と思っていた。選ばれるんだと。なんだか、理想の誰かに出会ってからそれで決めるんだと思ってた。
漠然とした話だった。わたしは自分が条件を考えたときに、はじめて、異性に対して能動的になっている自分を感じた。生きている感じがして、エキサイティングだった。自分を大事にしていると感じた。
素晴らしい経験だった。

手のひらに収まる範囲の欲の中で人と出会って、その中で大事にできるものがあったらそれは素晴らしい奇跡だ。

恋人の探し方に貴賎はなくて、合コンだろうが、結婚相談所だろうがお見合いだろうが出会えば出会えるし、興味を持ってもらえれば持ってもらえると思う。

エントリが残念なのは、女性の個性を探そうとしている感じがなかったことだ。分析はとても面白かったのだけれど、きっと、女性からも、合コンにきている無個性な男性、って言う風に見られているんだろうな。こんなに面白い文章を書ける一面があるのに。それがわかってもらえたら、きっと素晴らしいことが起きると思う。

自分の個性を大事にすることってとても大事だ。
相手の個性を感じ取る嗅覚が鋭くなるから、人生がもっと面白くなる。

c71の著書

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