呪いの解き方

誰しも、内面化された社会規範があると思います。
親御さんが自由に育てられても、周囲の人が性別による役割分担を押し付けて来たり、そういう発言をしたり、立ち入ったことを言って来たり、ということはどんな人でもあるんじゃないかと思います。
(良い社会規範もあると思います。)

内面化された社会規範は、ある程度必要なものもありますが、それで、生きづらさ、というものが生まれるとしたら、その呪いは解いた方が良いと考える人もいると思います。
もちろん、そうすると、社会的に抹殺されるのが怖いから、このままで良い、と思う人もいるでしょう。
内面化した社会規範は、他者にも、その通りにするべきだ、という気持ちを生みます。
だから、その通りにしていない人を見ると、「イライラ」が生まれます。
自分に対しても、フラストレーションがたまりますし、他人との関わりに、ワンステップ必要になってしまいます。それは、けっこう面倒なことだと思います。

人の目を気にする、という表現がありますが、現実の人の目を気にしているというよりも、自分の心の中で想像する、「人々」「世間」がどう思うか、心配する、ということがほとんどだと思います。
そういうことも、不自由です。

呪いを解くには、呪いがかかっている!と自覚することから始めないといけません。
具体的には、生きづらさを認めるということです。
なんだか、生きづらい、社会に適合していない気がする、世の中にとって、自分は邪魔者だ、という気持ちが消えない。いっそのこと、消えてしまいたい。自分は無価値だ。
頑張っても報われない。
こういうことが、生きづらさの一例です。

所詮女だし、バカな振りをして男をたてる女が良い女だから、賢さを表に出すのはバカなことだ、とかね。これは社会規範ですね。
そういうの、わかってない女を見るとバカじゃないかと思ってイライラする。
一人でごはん食べてる人は、かわいそうだと思う。
こういう、社会規範が内面化されていると、結局、自分に跳ね返ってくるので、自分が一人でご飯を食べると、かわいそうだと思われるんじゃないかと人の目が気になって、一人でご飯を食べることができなくなる。
それって、自由を謳歌できていない状態を自分で作ってることになります。
ひとつくらいなら良いかもしれないけれど、人をジャッジすると、だんだん、自分もジャッジされているんじゃないかと心配になって、何をしたら正解なのか、見えなくなるし、やりたいことができなくなるばかりか、そもそも自分がやりたいことがわからなくなってしまう。
そうすると、自分が生きている実感も味わえなくなってしまいます。
だから、漠然と「もう消えてしまいたい」という気分になるわけです。
社会規範を攻撃するってことを思いつかなければ。
そして、社会規範から自由になることを思いつくよりも、「消えたい」と思っている方が、自分を変えずに済むから、一時的に楽なのですよね。
変わることは怖いから。

それを実行していると、どんどん息が詰まっていくことを、自覚すること。
体調の悪さや、気分の重さや、疲れのとれなさ。
自分を抑えていると気持ちも落ち込んできます。

呪いを解くためには、まず、そういう社会規範があるのだ、ということを知ることが大切です。
わかると、内面化された社会規範との距離の取り方がうまくなり、他人や自分を裁く回数を減らせることでしょう。
社会規範通りに振る舞ったとしても、精神上距離が取れていたら「演技しているのよ」と思えたり、社会規範通りに他人を裁かなかったら、社会規範を無視している人のことが気にならなくなって、楽になるのではないかと思います。

(余談ですが、男性の性欲や欲情は、メディアによる教育効果によって、歪んだ形で発露することが多く、それが男性の生きづらさの一因になっているのではないかと思います。例えば、本来はロリコンではないけど、ロリコンのポルノを見ているうちに、学習してしまった、というようなことが。
ポルノによる弊害を自覚していない方も多いようですが、それはやっぱり、生きづらさに結びつくと思います。無駄に若い女を尊ぶとか、女をジャッジしたり、貶めたりしないと、満足できなかったり、というのは、反社会的なことですから、自分が困る話なんじゃないかと。
女性差別、ってやっぱり反社会的なことなので、それを内面化すると、イライラしやすくなるから、たいへんじゃないかな、と思います。
これは男性自身が自分でかけている呪いなのかなと思っています。
特に、欲情のスイッチの入り方は、ポルノから得た情報で、脳が覚えてしまったもので、生得的なものは少ないのではないかと思っています)

関連c71.hatenablog.com
c71.hatenablog.com
c71.hatenablog.com
c71.hatenablog.com

c71の著書

スポンサーリンク
広告

呪いの解き方」への2件のフィードバック

  1. 私は、社会規範の存在に気づくこと、それを攻撃していいこと、社会規範を批判しながらその中で生きていくことができる、そういうことをやっていいと気づくまで時間がかかりました。それまでの間は、ずっと私の至らなさを責めていたんです。
    抑圧されていると、社会規範にかぎらず、あらゆるものに対して怒ったり、批判したりする気力がなくなっていくのではないかと考えています。c71さんの文章は、無気力の中で気付きのきっかけを作るのではないかと思いました。すごく素敵だと思います。私ももっと昔にこういう文章に出会えていたらと思います。特にこのエントリは、タイトルも、中身も簡潔で分かりやすいので、ほんとうにもっと早く出会えていたらな、と殊更つよく思いました。

  2. 批判しながら、その中でやってくの、すごく大事ですよね。
    批判するなら出てけ、というバリエーションもあるし、批判はいけないとか。
    きっかけになったのは、しおりさんが、もともとかんがえてらっしゃったからだとおもいますよ。
    ありがとう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください