TRAとの権利の衝突(トランス女性と女性と男性の犯罪数の比)

TRA(trans right activist)と女性が対立している。

この女性という表現が、問題だ。

  • 女性の定義の問題
  • 権利の衝突の問題(正確には利益の衝突)

今回問題になっているのはこの二つだ。

女性の権利の問題

サイードかチョムスキーか、どっちかが言っていたことを表にするとこうなる。

結局のところ、性別を定義できるのが、「男」だけの特権だから、女は、「女とは何か」を思い悩む羽目になる。男は、女が自分たちで、「これが女だ」というと、「いやいや、ペニスもある女もいるんですよ」と言ってくるし、逆に「こいつは男だ」といって女を持ち上げて、連れ去ってしまうからだ。

上の図を利用して書いたのが下の図である。

性別の振り分け決定権が偏っている

誰が誰を「女だ」と決めるのかというと、その決定権は男性が握っている。また、どのようなものを「女」とその定義を決めることができるのも男性だ。だから、女が四の五の言っていても、女の定義は勝手に変えられつつあるのだ。

男は、女が何者か知っている。それは、男が主体で女が客体だということに社会が規定しているからだ。社会通念上、男が主体で女は客体だ。だから、このばかばかしい図が現実に通用してしまう。女が、いかに、自分自身を知っていても、「知らないだろう」と言ってのけてしまう、そういう権力を、男は持っている。

そこが問題だ。女同士で、これは女だあれは女だといくら論争していても、最終的にひっくり返されるのは、この構図があるためだ。この「女同士」というのは、当然、セルフIDでの女性を含む。また、ひっくり返すのは、セルフIDがどちらであっても、結局男として生まれ扱われてきた人たちだ。

女と女の戦いを高みの見物して、ときどき、怒声を投げかける男たちの醜悪さ。

権利の衝突の問題

断っておくけれど、わたしはすべての人間に権利があると理解している。だから、トランスジェンダーだから権利がないだとか、権利を得るための活動をやめろとかそういうことを言ってきてはいないし、思ってもいない。

ただ、わたしの権利と衝突するので、自分の権利の主張をしている。

自分の権利の主張は、ほかの人に代わってもらうことができないので、そうする。それは、わたしのニーズを、わたし以外が認識することができないからだ。

権利の衝突のことをコンフリクトと言ったり、conflictと言ったりする。

相反する権利が衝突するというのはどうしたってある。Aにとって利益であっても、Bにとって不利益だったりとか、たった一つのものを二人で奪い合ったりというときに起きる。それは、どちらが悪いとか良いとかではない。どちらも正しいが、両方が成り立たない場合がある。ただ、そういうものだってだけだ。

フェミニズムは死んだとか後退したとか言われて、もうゾンビ状態なのではないか、だったら不死なんじゃないかと冗談を言いたいくらいだけど、TRAの主張と、フェミニズムの主張は、コンフリクトをうむ。そして、生まれつきの女性(この言い方はものすごく忌々しい)は、コンフリクトの際には、優しく譲らされてきた。

トイレの問題

今、トイレと公衆浴場で、激論が交わされているが、どうしてそこが論点になるかというと、そこがお互いにどうしても譲れない点だからだ。

調べたところ、外国では、用を足すことは、権利問題になっていた。それを解決するために、日本と同じように論争が起きて、TRAが権利を勝ち取るという流れになっている。2017年では、ロンドンで、中立トイレを普及させるという声明が出た。アメリカでは、自認に沿ったトイレを使いたい、という流れになっている。けれど、それも、最初はかなり慎重な運用をしていて、個別に配慮をして、話し合いをし、お互いの了解を得る、という傾向がみられたようだ。

日本のTRAの主張の根拠に使われる(Gender Identity Nondiscrimination Laws in Public Accommodations: a Review of Evidence Regarding Safety and Privacy in Public Restrooms, Locker Rooms, and Changing Rooms)が日本でそのまま根拠として使えるかについては、いくつか欠点がある。

(この上記論文については、購入して、詳しく検討したブログをあとで示します。)

追記 ; <http://rokujo.org/2019/01/12/1589 公衆トイレ論文は信用ならない この記事です。お金出して論文を購入して、英訳して分析して検証したので読んでください。これが、遠藤まめたさんのバズフィードの記事の根拠になった論文が信用できない理由を書いたもので、これが信用できないということは、TRA側の主張、すなわち共有トイレにしても犯罪は増えないということが揺らぎます。

その一つとして、あげられるのはトイレの文化的、歴史的背景の違いだ。

アメリカでのトイレとの違いは大きい。アメリカでは、日本語でイメージする公衆トイレはレイプなどの犯罪が多発したため、撤去されており、残っている公衆トイレは、治安が非常に良い場所にあるそうだ。また、ショッピングモールや、駅、デパートのトイレもpublic toiletらしい。スターバックスのような、店員がカギを持っていて、逐一わたすようなタイプのトイレも、アメリカのトイレだという声明を出した(購入しなかった黒人男性にトイレを貸さなかったことがあったため)。このような環境のトイレと、日本のトイレと、そのまま比較して、日本のトイレにあてはめることはできない。

「安全に用を足したい」は健康のための権利である

この権利は、当然、女性にも、トランス女性にもある。ただ、女子トイレのルールを変えるにしても、変えないにしても、どちらの権利をもみたすのは無理だ。

ただ、女性が安全に用を足したい、ということと、mtf(この言葉が指す人も非常にあいまいになってしまっているけれど)が安全に用を足したい、ということは、そもそも衝突するのか、という問題はある。

外国の公衆トイレ事情やTRAが示した論文を今調べて、検討しているところだが、日本と安易に比較できるものではなかった。状況が違いすぎるのだ。

外野のつもりの男たち

女性が安全に用を足したい、女湯に入りたいという声を、男性たちは、「男には、差別をなくせと要求する癖に自分がいざ差別をなくせと要求されると、断るんだな」という風に揶揄している。

考えてみてほしい。「就労機会も賃金も不公正だから、平等にすべき」という主張と、「自分が安全に用を足したい」という主張が、同じレベルだろうか。

男性のほうが就労しやすく、賃金が高いのは、不公正のせいだが、安全に用を足したい、という欲求は不公正ではない。また、用が足せなければ健康を害す。就労は下駄を外されて困る男はいるだろうが。

アメリカでは公衆トイレは、ホームレスの権利であり、健康を守るためにどうしても必要だという文脈で語られる。肝炎で14人亡くなった年があり、その結果を受けて、議論が起こった。アメリカでの公衆トイレは、人種とホームレス、貧困、またレイプや麻薬、売春との組み合わせで語られることが多い。だから、アメリカの公衆トイレは、近くに警備員や、店員がいて、誰が入っているか、問題が起きないか、なんとなく把握しているような状況が多い。

また、自分たちが、安全なトイレを作れないことも原因の一つなのに、彼らは、トランス女性と女性の対立をあおっている。今こそ、モノ言う女を叩き潰す機会とばかりに。

衝突するように仕向けられているんじゃないかという気もする。

たとえば、今ツイッターでは「中立トイレ」を提案すること自体が、差別的だとののしられる。トランス女性を含めた、すべての女性が、女性用のトイレで用を足すことができるようにしなければ差別的ということになっている。

でも、それは、多くの人が言っているように不可能だ。

そして、日本で、TRAが主張するように、すべてのトランス女性が女子トイレを利用するようになったら、現実には、すべての女性が女子トイレを利用できるとはいえなくなるだろう。男の記号を身に着けた人を怖い人は、トイレに行けなくなってしまうからだ。また、厄介なことに、TRAは散々加害的なことを言って、女性を怖がらせた。

属性による性犯罪を起こす割合とその非対称性

性転換手術をしても変わらない男性の狂暴性 このサイトはかなり参考にさせていただきました。根拠が明確で勉強になります。
上記の根拠となる記事

ジェイミーはさらに、公衆トイレや更衣室及び試着室における事件に関して何年にも渡り何百という時間をついやしてネット検索をし、1000件に渡る事件を収集した。これらの事件で1000件中952件までが生物学的に男性による犯罪だった。

その内訳は、大人の男性839件、少年70件、女装男25件、MTF7件、大人女性25件、FTM1件、少女12件。女性による犯罪は性犯罪は非常に稀であるが、犯罪の犠牲者は女性が大半を占める。

ジェイミーはこれらの調査結果から、女性が女性施設に男性が立ち入ることを恐れるのは正当な感情であり、女性たちが安全な場所を要求するのは全く当然のことだと語っている。

そして、人口比に対する性犯罪を起こす割合で言うと、生まれつきの男は、生まれつきの女よりも、性犯罪を起こす。女性が、女性に安心を覚えるのには根拠がある。

上記のURLの調査によると、USAのトランスジェンダーの割合は、GIDの場合、0.39%。

この調査では、女性の性犯罪率が、約6.6%なので、mtfの起こした性犯罪は、女性と比較して、1000×0.0039×0.066≒2.6以下くらいでなくては安心できないが、これは誤差と言える範囲だろう。

訂正:mtfが女性と同じくらいの頻度で性犯罪の起こすなら、性犯罪の発生は、1000件中、1000×0.0039×0.066≒0.26人でなくてはいけない。実際には、7人いるので、27倍になる。

これは、mtfが女性と比較するとはるかに高い確率で犯罪を起こすと言える。ちなみに男性は、女性よりも1287倍性犯罪を起こす。 訂正終わり


ただ、GIDの人口比が0.39%だから、mtfはこれより少ないはずだ。本来は、0.00039よりも少ない数でかけるべき。ただ、この7人は、身も心も男性が起こす性犯罪の比率から導き出した人数よりは少ない。というのは、男性が起こす性犯罪の比率通りで計算すると1000×0.0039×0.93≒36 だからだ。

結論としては、mtfが一緒に使う女子トイレは、生まれつきの女性だけよりは少し安心ではないが、男性も入るよりもずっと安心だということが言える。心配している人は少なかったかもしれないが、計算していてほっとした。

mtfがことさらに性犯罪を起こすわけではない。

人口比を考えなければ、女性の起こす性犯罪数と、女装+mtfの起こす性犯罪数は同じくらいだ。

しかし、人口比の問題があるので、犯罪数は、32/1000となる。ただ、今のトランスジェンダーの定義では、女装も含む。TRAの主張通りなら、女装の男性を含んだ割合で計算しないといけないが、どのくらいの割合か、調べることができなかった。

しかし、女装の男性は、女性よりも、性犯罪を起こしやすいというのは、わかる。なぜなら、女装の男性が女性と同数いるとは到底言えないからだ。だから、これは、女性の恐れが、識者の言う偏見ではないことを示す。

女性らしく見える人同士では、生まれつきの女性(いい加減言い方がどうにかならないものだろうか)同士よりは安心ではないが、男性が入ってくるよりも安全だということが分かった。

女子トイレを誰が使うか

では、女性らしく見える人だけ、女子トイレを使うことになったらどうか?

パス度を高めにくい状況の人もいる。例えば身長や骨格の問題、金銭面、健康面、あらゆる意味で、パス度が低いまま暮らす人がいるのも確かなので、そうした人の用を足す権利は守られない。その人たちは、危険だと言われる男子トイレに行ってもらうことになる。

(疑問として、男性たちは自分たちの使うトイレを安全にする気がないんだろうか)

女性らしく見える人が、女子トイレを使う状況なら、その人たちは、女子トイレを使える。けれど、そうすると、女性らしく見えない女性は、女子トイレを使うことができない。つまり、あらゆる女性が女子トイレを使うことは達成できない。

結局、議論の最初に戻るとmtfを含む、女性らしく見える人たちが女子トイレを使っている分には、今よりも悪くなることはあまりないが、男性たちに女子トイレに入る口実を与えると危険だという話の振出しに戻ってしまう。

TRAは、いざというときには、建物の管理者が判断すればいいというけれど、小規模な店舗で、もしくは大きな店舗であっても、パートタイムの労働者が、たまたま責任者をしている状況が多い日本で、適切な対応がなされると思うのだろうか。判断の丸投げだと思う。そして、適切な対応でなかったら、そのような店舗は、ネットでの評判を落とされたり、訴訟されるリスクを負う。それを防ぐためには、定義やルールを明確化するしかないと思う。

今、日本では、女子トイレへの侵入を不法侵入罪か迷惑防止条例でしか検挙できない。不法侵入罪は、建物の管理者の意にそぐわない使い方をされたときに発生する。これは、犯罪になるかどうかが、管理者の判断に任せられることを意味する。このとき、犯罪にすることのリスクが高いと判断した経営者がいても責められないし、また、そういったとき、女性の安全は守られない。

識者は、女性の恐れをトランスへの偏見というけれど

女性らしく見えない人も女子トイレを使うとなれば、男性は、性犯罪目的で、今よりもずっと侵入してくるだろうから(これを否定する論文としてTRAから示された論文は今読んで検討しているところです)。

結局のところ、どこかで切断するしかない。そういう決断を迫られると、衝突が起き、敵対することになる。わたしはそれを文化人や、TRAがあおっていると思う。

意味通りのことだけが起きる、わけがない

とある学者は、トイレは用を足すところだから、みんな用を足しに来る。だから、他人の性器を見ることもない。気持ちはわかるけれど、恐れは偏見だということを書いていた。

こういうのを見ると、生まれつきの体の属性によって、経験してきたことの差が出るなと思う。

それなら、学校では勉強をする場所だから暴行もアカハラも起きないし、会社は働くところだから、みんな働きに言っているので、セクハラもパワハラもいじめも起きない。みんなが意味を共有して、その意味を果たしにいっているからそうなるはずだ。

現実は、そうはなっていない。

わたしはトイレの個室に、男性が入ってきて、男性器を見せられたことがある。これは現実の話である。わたしは誰にも今まで一度も言わなかった。初めてこうやって人に伝える。もちろん、通報なんてしてない。苦情さえ言っていない。それは、男女兼用トイレで起きた。

わたしは、これを防ぎたい。今でさえ起きている。

異性の性器を見せることは、犯罪だ。子供は特に守らなくてはいけない。男性が、女性よりも、性犯罪を圧倒的に起こすのは明らかだ。起きてからでは遅いのだ。一度も起きては困る。特に、大人の都合の変更によって、誰の子供でも、被害に遭ったら、絶対にわたしは、世界を許せない。

定義をあいまいにしていくか、男の否定としての「女」しかない

社会学や哲学が、どれだけ女性の定義の意味をあいまいにぼかしていくことで、性別なんて社会的構築物に過ぎないと意味を作り上げていっても、サクリファイスとしての体は残る。体の意味も残る。この体の持つ意味は、誰かに対しての生贄ということだ。なぜならばわたしがジェンダーを手放しても、女としての価値を失ったとしても、死ぬまで暴行の危険から逃れられない。

女性という言葉が、学者や、活動家、文化人、識者に奪われて、意味が剥奪されたので、わたしは女だ、と安心して名乗ることができなくなった。

これは、学問が、女という言葉の意味を、あいまいさではぐらかすか、男の否定としてしか示さなかったことに帰結する。学者たちが作り上げてきた学問が、わたしの身体を表す言葉を奪い去ったので、わたしは彼らが授けようとする何かを拒絶するしかない。わたしはもう何者でもないので、学ぶこともできない。それに、わたしは、グロテスクであっても、自分の性別が「生贄」だということに納得してしまった。女という大きな集団に、男が自分とは違うものを投げ込んでいって、その中のコアに生贄という属性があるというイメージだ。

本来は、誰もが安全、自分は安全だという感覚をもって、生活できるべきだ。男でも、女でも、自分がどれに属そうと属すまいと、安全安心、健康にに暮らせるのが一番だ。

だから、本当は、今の現実に即して中立トイレ(ロンドンのように高齢者、幼児連れの親、障害者も入れる)の数を増やすくらいの落としどころになれば一番いいけれど、議論はそうならない。

わたしは心を痛めているけれど、どうにもならない。自分が属する集団の権利を主張していきたい。

生贄にされるわたしのこの体の名前を、わたしは失った。

ペニスを恐れるのは偏見だという。男の持つ筋力や自信、傲慢なしぐさを、恐れるのは偏見だという。

わたしの周りに満ちる、男から傷つけられた人々の怨嗟の声は、聞こえないのだろうか。
それならば、わたしは、意味の剥ぎ取られたこの体を、どう名付けようか。学問的な意味で、社会的構築物になってしまったわたしの肉体は、暴行され、トロフィーとして、男の力の証明として捧げられる。男からの暴行の相手に選ばれる意味が、この体に残る。この体の名前は失われた。生贄としての意味だけが残った。

c71の著書

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TRAとの権利の衝突(トランス女性と女性と男性の犯罪数の比)」への2件のフィードバック

  1. 拙ブログの引用ありがとうございます。トランス活動家は「女性」という定義すら女性から奪おうとしていますね。彼らこそが新しい形の男尊女卑者でしょう。男がかつらをかぶってドレスを着たら突然女になれるという意識が私には許せないです。彼らは女であることの苦労の一粒も経験したことがないくせに。男が女子トイレに入ってくるくらい我慢しろなどと言えること自体、女がプライベートな場所で見知らぬ男性に遭遇することの恐怖を理解できない証拠です。そんな人間が女を名乗るなどとんでもないです。

    私はフェミニストではないですが、でも女として近頃のトランスの横暴には非常に腹を立てています。女子同士団結して似非女と戦いましょう。

    1. こちらこそ、ありがとうございました。知らない情報が多く、まだ読み切れていませんが、たいへん参考になりました。
      女であることがどういうことなのか、わかってないんじゃないかという、混乱と怒りがぐつぐつしています。
      トイレに入ってくるのを我慢しろというのが、どれだけ横暴かわからない人に一言も口をきいてほしくないです。
      あと、学者にはめちゃくちゃ腹が立ちます。なんなんだと思ってます。
      政治信条など違いは多いですが、それを踏まえつつ、越えて、団結しましょう!

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