大義名分のために人の成果を盗むな

以下のツイートに、成果の横取りなんて考え方は、問題へ関わることの障壁と書いてある。
これは、フェミニズムという運動の中で起きた文脈だ。


これのどこがおかしいのかは自明だ。
そもそも、フェミニズムは、女性の人権を守る、尊重させるというものである。
だから、誰の成果であっても、それは尊重されなくてはならない。
この成果というものがさすのは、AV問題について、長年取り組んできた人をないがしろにして、あたかももにかさんが今まで取り組んできたかのようにブログで発信したことにある。

AVAN代表川奈まり子さんインタビューからみえてきたAV業界の現状と今後(前編)
おそらく、この記事をはじめとした、記事群のことを指すのだろう。

どんな運動でも、どんな問題への取り組みでも、女性差別に関わるものは、エネルギーを使う。
その際には、あらゆる誹謗中傷を受ける。心にも傷を負う場合もある。体も疲れる。時間もかかる。お金も使う。

運動のために、と言いながら、運動体の中の弱者を踏みにじってきた歴史がある。
体の弱いもの、声の小さいもの、障害を持つものは、権利を求める運動体の中で、さらに差別される。
考えることがゆっくりなもの、反射的に言い返せないもの、気の弱いもの、話すことが苦手なもの、読んだり書いた李が苦手なもの、そうしたものは、隅っこに押しやられる。
女性は、運動体の中で、影に追いやられ、成果を盗まれてきた。学問の世界でも、ビジネスの世界でも、それは同じだろう。
フェミニズムは、それにやめろと言っている。
わたしは、弱者、勉強をする機会に恵まれなかった人間、主張するものが苦手な人間、いろいろな人間が、当たり前に尊重されることを望んでいる。

だから、フェミニズムという思想や運動体の中で、人の成果を横取りすることはあってはならない。
批判の対象になる。
もちろん、もにかさんが、もしくは、「成果という考え方は邪魔になる」と思えば、自分の成果を好きに使ってくれ、と投げ出すことは自由だ。
でも、他人の成果について、「成果という考え方が妨げになる」というのは盗人猛々しい。

そもそも、フェミニズムにおいて、男性が関わるために、配慮することが必要なのだろうか。
わたしたちは(といっていいだろうか)、ずっと女性差別は、「男性問題だ」と言ってきた。
男性は、気づかなくてもいい立場におり「気づかないものは仕方がない」と言い逃れ続けてきた。
説明したら「説明の仕方がきつい」「わかりにくい」「論理的ではない」と言い、戦う女たちのエネルギーを奪い、疲れ果てさせてきた。
男性への配慮や説明自体が、フェミニズムの障壁だ。

気づかないのだから仕方がない。どうしたら気づけばいいのか?そう聞いてくる。
わたしたちが、問いを投げかけた。それに対して「どうしたらいい?」とさらにケアを求めてくるのだ。
わたしたちは、気を使い、察してきた。ケアしてきた。
戦いの場でさえ、わたしたちは「戦略として」ケアを求められている。
一方的にケアする立場を脱するための戦いなのに、その渦中で「運動のために」ケアをしろと言われる。
成果を剽窃されても、「人に広めるためだから仕方がない」「そういうことをうるさく言うと、敷居が高いと感じる」「みんながフェミニズムを嫌いになる」

わたしたちは、「嫌われる」ことを求めているのではなかったか。
好かれることを唯一の生存戦略にする、それこそが、抑圧されている証拠であり、社会のいびつさを示しているのだ。
男たちは、わたしたちに、嫌われないようにしてきたか?
いいや、下種なことを言い、普段から、何気ない会話で性的な言葉を言わせ、笑い、無表情になれば「かまととぶっている」「知らないはずないでしょ」と投げかけてきた。
「気づかないから仕方がない」「どうすればいいのか具体的に言え」と、男性たちが質問をするとき、一度でも「好かれよう」と気を使っただろうか。

わたしは、対等を望むから、相手が戦う女たちに好かれようとへつらうことも望まない。
そして、わたしもへつらうことを望まない。

へつらって得られるフェミニズムとは何だ。
好かれるために気を使ったフェミニズムとは何だ。

二つの意味で誤りだ。
人の成果の横取りという考え方は、障壁になる、というなら、自分自身の成果のみ投げ出すこと。
横取りは、それをした人を尊重しない。いないものとして扱うこと。フェミニズムはそれを許さない思想だ。
男性たちにとって、フェミニズムがとっつきにくいからといって、サービスしない。一方的なケア労働だからだ。
ましてや、人の何かを使っては。

人が人を尊重する。それだけのことだ。簡単な原理だ。
そこに、不均衡がある。それならば、正さなくてはならない。
不正義は、してはならない。何かをするために、人を踏みにじることも許されない。
盗むな。へつらうな。媚びさせるな。対等であれ。

c71の著書

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