可愛いって一万回言われたのに、他人のことがうらやましい。

わたしは、可愛い、美人、綺麗って言われて育ちました。本当のところは知らないです。身近な人に言われる感じです。

綺麗な顔、整った顔立ち、細いスタイル、黒いさらさらの髪の毛、白いつるつるの肌、可愛い、美人、綺麗って言われてきました。

年を取って太って、体も丸くなって、肌もすべすべの白い肌じゃなくなったけれど、まだ、若いね、綺麗だね、可愛いね、と言ってくれる人はいます。

だけどわたしはとてもとても飢えていて、「もっと可愛くなければ、もっと綺麗でなければ、痩せなくては」と焦っています。ゴージャスに愛されたいのです。ちやほやされたいのです。飽きるくらい。

お姫様のように着飾って、ご機嫌を窺っていただいて、愛されたいのです。

わたしは去年、整形手術をしようと思い詰めていました。今はダイエットをしようと思い詰めています。
どちらも容姿に関してのことです。
年を取ると容姿は衰えます。わたしはもともと、それほど美しいわけじゃなかったのに、年を取ってもっと美しさが減る、と思っています。魅力が減ると。

わたしは、ネット上のアイドルたちにさえ、うらやましさを感じているのです。美しさを持っている特殊な人たちに。

わたしは、才能がある人のことだってうらやましいです。人脈の多い人だってうらやましいです。

ああ、なんて、わたしは普通なんだろうと思います。わたしには華々しいところが何もない、普通にもなれない、普通以下だ、わたしは何だろうと思います。
どきどきして、焦ります。知らないひと相手なのに。苦しくなります。バカみたいで、頭が沸騰しそうになります。

何千万と稼いでみたいです。稼いだら楽しいだろうと思います。
インターネットではそういう人がたくさんいます。
ネット上の知り合いの知り合いが、そういう風にお金持ちになったりしています。本当は、そうじゃないのに。知り合いじゃないのに。うらやましいと思わなくてもいいのに。

わたしは、ダイエットして、男の人と知り合ってみたいと思います。そして、今の飢えが消えることもなくて、解放されないんだろうな、と思います。
だけど、その過程で、わたしはきっと成長して、飢えのこともうらやましさも忘れるのだと思います。自分のことで満足できるのだと思います。

c71の著書

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