子供を持つか、持たざるべきか

子供を産んでから後悔したことは一度もない。

毎日この幸せな瞬間を覚えておくことができないなんて切ない、と思う。

しかしながら、友達には子供を産むこと自体は勧めない。

理由は命の危険があるからだ。

妊娠初期では化学的流産をする場合がある。中期後期も切迫流産をしたり、安定期になっても気は抜けない。胎盤剥離は、速やかに対処しなければ、失血死してしまう。

つわりは、わたしは妊娠初期から、産むまであった。なんなら今も吐きやすい。

牡蠣にあたって、インフルエンザにかかったみたいな具合の悪さが八か月続いた挙句、産んだら産んだで回復していないのに、二十四時間緊張しながら、一時間ごとに子供の世話をしないといけない。

わたしは、期間の長さから言って、陣痛よりつわりのほうがつらかったと思うが、陣痛が痛くなかったわけでもない。

妊娠直前、出産直後に歯を診てもらったのにかかわらず、一年後、三本も虫歯が見つかった。歯がボロボロになるのは本当だ。

産む前よりも産んだほうが大変というが、産んだ後は、子供と親がセパレートされているので、人に預けることができる。産んだあとは、休める。

男は産むことができない。わたしは今でも伴侶が産んでいないことを疑問に思うくらいだ。「君、産んでないよね」というと「産んでないねごめんね」と言われる。妊婦あるあるを共有できないのはさみしい。

女性は、死の危険を潜り抜けてようやく子供を手にするけど、男性は寝ている間にいつの間にか子供ができて「心の準備ができていない」「母親にはかなわない」といって敵前逃亡をする。

そんな奴は焼き払え、と言いたいが、誰も屑と結婚したいと思って屑と結婚したわけじゃないのだ。素敵だと思っていた相手が、実は「心の準備ができていないから妊娠中しっかり心の準備をしていて、生まれたときから母になるべく仕組みが備わっている母親が子育てをするのがいい」とほざくあほだと誰が思うだろう?

思わないだろう。

みんな、自分の連れ合いはそうじゃない、屑じゃないと信じていてなおかつ産後屑だったとわかるので、人生はつらい。見抜くも何も、未婚女性は、結婚の経験がないから、予兆があってもそれが予兆だと思わない。

なんだかおかしいかも?と思い始めたときには結婚話が進んでおり、それが「なんかおかしいかも?」くらいで後戻りできない暗い話が進行しており、なおかつ「これを逃したらもう結婚できないかもしれない」と思っていたら、絶対に結婚をやめることはできない。やめたほうがいいと思うけど。現実は難しいのだ。

わたしたちは、実家を双方一切頼っていない。その代わり社会の資源を頼っている。社会はわたしの子育ての困難さを軽減するために存在しているのだ。

社会はなぜ存在しているかというと、お互い助け合うことによって生存率を上げるというために存在しているのだから、社会の不備は人類の不備である。

人類を増やす目的で死にかけたのだから社会的資源を当てにしても当然の権利である。ただ、当然の権利だと思っていない人は多い。

当然と思っていない人は罵詈雑言を解き放つし、もしくは解き放たれることを恐れて自分で何とかしようとする。

男性の連れ合いが屑でも「でもあいつ、いいやつだから」と言って、愚痴を封印してくる自称友達は事欠かない。

そういう状況で産むのは難しい。

せめてもと思って、ネットで書いて共有しようとするとどこからともなくミソジニストが現れる。

女が安全に子供を産み育てるためには安全な医療と、安全を保障する社会が必要なのだ。

一人の女が産むことを決意するだけでは足りない。

本来は、自己決定権に基づき、女が一人で産むことを決意したら産める育てるという社会がベストだが今はそうなっていない。女が一人で産むことを決意するという意味は、結局腹の中で子供を育てて、それを外に出すという行為は、一人きりでするしかない、という意味だ。

産むときは一人だ。だから、わたしは「子供のいる生活は最高だが、勧めはしない」という。


出産を経て毒親には一生会わなくていいという確信を得た

出産直前、親にされた仕打ちを思い出して、のたうち回って、号泣して過呼吸になった。
自分が、子供に同じことをしないか同じ気持ちにならないか心配で、うつ状態にもなった。

産んでわかったのは、赤ちゃんは信じられないほどかわいいということ。
そして、弱いということ。
弱いから、わたしに愛されなければ、死んでしまう。だからか、わたしが「かわいい」と思うような行動をしてくれる。
モロー反応、新生児微笑は、親が子供を育てやすくする。そのための本能だと思う。
それがわかっていても、もちろん、かわいい。
嗅覚で、わたしを判断するから、ねぐずりがひどいとき、わたしの布団で添い寝すると安心して眠る。
抱っこも好きだし、わたしが歌うと喜んでにこにこしたり、おしゃべりしてくれる。
ほかの大人と夢中になって話すと、こっちを見て、というように、服を引っ張って、うにゃうにゃ言い、反応しないと眉をしかめ、返事をするとにっこりする。
柔らかくて暖かくていいにおいがする。

こんなに、弱くて、小さな存在を、どうして、いじめるんだろうか。
そのいじめる理由があったとしても、それは許されない。

わたしは今でも親にされたいじめ、虐待を思いだせる。忘れたとしても、パートナーが覚えていて、証人になってくれる。
子供を会わせないのはかわいそうかもと思ったことが、出産直後の夜に、看護士が痛み止めを意地悪でなぜか出さなかった(医者は出すように指示を出していたのに、従わなかった)ときにあった。たぶん、いじめられて、気持ちが弱ったんだろう。
そのときも、手紙を書いて、わたしは会わないで、外でパートナーに赤ちゃんを連れて行ってもらって、そこで面会するというストーリーを考えた。会うのはそういう時でも無理だった。
会うことを考えると、身体症状が出る。それほどのいじめをしたのは、彼らで、だから、会えないのは彼らの自業自得。彼らは、したことをしていないという。記憶をすり替えることができるみたいだ。

子供は小さくて弱くてかわいいから、絶対にいじめてはいけない。いじめる気持ちも全然わからない。わかりたくもない。
彼らは異常者。
悩んでいる人に言いたいのは、赤ちゃんや子供をいじめる人に、どんな理由があっても、許す理由にはならないから、一生会わなくていいよ、ってこと。
子供を産んでから確信が持てた。あいつらは屑だ。


社会のルールが平等じゃない

わたしは、女性が男性と同じように働くべきだとは思ってない。

なぜかというと、この社会は男のルールでできているから、女性には最初から不利だ。
それを「男女は不平等だ」という言い方をする人もいる。現実を見ろとか、現実を教えろという人もいる。
現実を追認するのと、現実に対応しながら、変革を試みるのは違っていると思っていて、わたしはできるならば後者でありたい。

女性が、男性と同じように働くには「頑張る」必要がある。
その時点で、同じ土俵に立てていない。見えない天井も壁もある。女性の下で働きたくないだとか、女性には出世の道がないだとか。ベンチャー企業に勤めた女性がいるのだけど、彼女は同じように働いている同期の男性と、二年で給料に差がついていたといっていた。

それもそうだし、女性には、出産に関わるコストがかかる。働く前から「あなたはいずれ出産しますよね?」と言われる。
出産するしないに関わらず、月経があり、月経は人によって、動けないくらい体調不良を招く。それがもともとない人間と同じようには働けない。
だから「男のほうが優れている」という風な結論を導き出す人も多い。
人類が滅亡しようとなんだろうと、どうでもいいんだけど、「人手」というものは、どこかの女性が十歳前後から血を流しながら体の準備をして、四十週吐きながら体の中で育成して、死にそうになりながら、産みだした誰かなのだけど、そこのところは見ない人がいますよね。フリーライダー。

だから、わたしは男性と同じように働くことはしないし、あきらめてもいる。

男のルールの社会は、たくさん人が死ぬし、人が生まれにくくなるし、育ちにくくなる。それはおかしいんじゃないの?と思う。

つわりがひどい間、「この間、普通、産休取れないんだよね、耐えられない人は、仕事をやめるしかなく、そして、出産を機にやめた人は、ほとんど、パートにしかなれないんだよね」という暗澹たる気持ちになった。母親がしんどい時、父親になる人の睾丸が同期して腫れ上がるとかになればいいのにね。


家にはすべてがある、しかし、散歩だけがない

わたしの家はたいへんに住みやすく、居心地もよいのです。
ネットフリックスを契約したうえ、アマゾンでプロジェクターを買ったものだから、天井に移しながら、布団で映画を観られるという最高な環境もある。

そして、ゲーム機もいくつかある。最近体調が悪くてできていないけど。

お香もたけるし、音楽も聴けるし、クーラーもあるし、本も買えばあるし、読める。
冷蔵庫もあるから、ご飯も作れる。
うちにないものは、……散歩だけだ。
わたしは、散歩が好きだ。散歩したついでに、買い物したり、デパート、カフェ、映画館、本屋、そういうところによったりするのが好きだし、街路樹や、庭、花を見るのも空気の香りを嗅ぐのも好きだ。
だから、仕方がなく、家の外に出る。
家の外は楽しい。
今は妊娠してるから、原付に乗って、どっかにいくこともできない。山も海もだめだ。つまらない。
退屈だ。
おなかの中で何者かがうごめいている感覚はとても面白いし興味深い、もう、最近では完全に人の形をしてますよね!というのが、ありありとわかるサイズだし、骨の感じも腹の肉越しにわかる、ちょっと気持ち悪いなりにかわいい。

昼間は吐き気と頭痛と倦怠感で、ずっと横になっていましたが、夕方から突然、元気になって、眠くもなく、こうして、ネットをしています。